長渕剛のジャンパー 買取の話 | 『美術商の鑑定日記』

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先週木曜日に「アメトーク」を見た。
「長渕剛芸人」という特集で面白おかしく、でも長渕剛へのこだわりを強く感じた。


長渕剛はフォークソング世代から団塊ジュニアまで、
特に男性を中心に幅広いファンを持っている。

私もファンの一人に入るが書き始めると止まらないので、
割愛させていただくが、とくに詩人としての魅力が卓越していると思っている。

番組を見ていて、思い出したことがある。


1年程前の鑑定会に、長渕剛が着ていたという言われるジャンバーが持ち込まれた。

持ち込んだのは、70過ぎのおばあちゃん。

息子が20年以上前、雑誌の懸賞で当てたという。

その後ずっとダンボール箱に入れてあって、数十年振りに見つけ出された。


いわゆるスタジャンで、あまりにも小さくてびっくりした。
右袖には『TSUYOSHI』、左袖には前妻の名前が刺繍されており、

本物間違いないと感じ、思い切って買い取った。


本文とは関係ありません



その後いろいろと忙しかったので、しばらくそのジャンバーの存在を忘れていたが、ふと思い出して倉庫に行ってみると、もう長渕ファンの同業者に売ってしまったと言う。その同業者は、このジャンパーを着てた長渕コンサートにも行っており、切願され、その熱意に負けて売ってしまったと言う。

長渕ファンに受け継がれた事は嬉しいが、やはり取っておきたかったという気持ちもある。

ちなみに長渕剛は絵描きでもある。
力強いタッチで描かれた絵に、詩が認(したた)められる。
ミュージシャン長渕剛をそのまま表現したような絵だ。

数年前に銀座の老舗画廊にて展覧会をしたときには、
長蛇の行列、即日完売だったそうだ。

まだ絵は持ち込まれた事はないが、この仕事をしているうちに巡り合うのだろう。


そのときは舞い上がり過ぎないよう、冷静になって買おうと思う。
ただあのジャンバーには巡り合えないだろうと思うと、やはり惜しい気がしてきた。