ブログネタ:最近どんな本読んだ? 参加中
本文はここから


この数ヶ月、読みたかった本をものすごい勢いで読んでる。
先月末の日記で書いた気もするけれど、3月4月で60冊近く読んだ。

数冊の本については、読んだ感想をこのブログにも書いた。


フィンランドの高校に入学し、今もフィンランドの大学で学ぶ著者の
フィンランド留学記。描かれたフィンランドという場所での生活の中の、
その様々な場面で『人を思いやる温かい心』が持つ力を感じた1冊。

青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記/高橋 絵里香
¥1,365
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この記事ではマンガ『夏子の酒』と、野菜博士相馬先生の遺した
本について書いている。相馬先生の本は他にも数冊読み直した
のだけれど、この本は皆さんにもオススメしたい『野菜の教科書』。
相馬先生のウイットに富んだ、分かりやすい表現や説明に惹かれて、
きっと楽しく野菜を知ることができると思います。

朝取りホウレンソウは新鮮か?―相馬博士の旬野菜読本/相馬 暁
¥1,200
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歴史上のいくつかの出来事を取り上げて、いくつかのバラバラに
考えられていく出来事、つまり『点』を『線』でつなぐ方法が例示され、
そしてそこから見えてくる真実に至る過程が分かりやすく並べられて
いる一冊。僕の歴史の勉強法も同じなんですよね。

日本史集中講義―点と点が線になる (祥伝社黄金文庫 い 2-10)/井沢 元彦
¥670
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長いのですが、今の僕のフィンランドや教育に関する考え方を綴っていました。

<以下転載>

最近よくフィンランド式の教育が・・・と言われるけれど、正直僕には

そのフィンランド式の『式』に違和感がある。ここから書くのはあくまで

僕自身のフィンランドの教育に対する考え方、そういう前置きで読んで

頂ければと思うのだけど、基本的に『一定の形がない』のがフィンランド

の教育だと思ってる。まずカリキュラムありきではない。どこがスタート

ラインかというと、あくまで『子供達』がスタートライン。それぞれの子供達

が興味・関心を抱く時期やアプローチの方法が違うという前提で、人生

という長い視野に立って、子供達が成長し、自立して大人になっていく

中で、人生を切り拓くため助けとなるように、1人1人の探究法や思考

の幅をいかに広げることが出来るかが大切にされていると感じている。

残念ながら、僕自身はフィンランドの学校に行ったことがあるわけでは

ないので、あくまで本や資料、映像を通して見た感想ではあるのだけど。


その視点があるからこそ、基礎的な学力は平等に身に着ける機会を

与えるのが当たり前、その身に着ける手助けをするために、どのような

方法で子供達にアプローチしていくのかが決まっていく。だから、『式』

という決まったひとつの道はないと僕は思ってる。なぜ学校があるのか、

子供達にとって学校というのはどういう場所なのか、その定義ははっきり

している。そしてそこから生まれる『目的』『目標』がしっかり共有された

うえで、方法については形にこだわらず、無限の可能性を常に広げて

いくのがフィンランドの教育だと僕は思う。だから、教育は『競争』では

なく、『格差』はできるだけ小さくしなければならない、そういう考え方が

生まれていくんだと。


この本では、現在の日本の教育制度とフィンランドの教育制度の違い、

さらには著者の方が実際にいくつものフィンランドの学校に見学に訪れて

まとめた授業のレポートを見ることができる。このレポートには授業の

内容だけではなく、生徒の様子や先生の個別のアプローチまで克明に

まとめられていて、実際に自分自身もその場にいるかのように読むこと

ができる。僕自身、読み進めれば進めるほど、なるほど、こういう角度も

あるよね、そうか、こういう広げ方もあるよなぁ、とほんとに色々と新しい

発見をもらい、視点を広げてもらった1冊になった。


僕が塾を作るきっかけとなったことのひとつに、『もっと子供本位の

視点から学習を進める場所、子供達をサポートする場所を作りたい』

ということがあった。それが創立以来掲げている『生徒第一主義』と

いう言葉に込めた思い。僕は『進学塾』ではない、『学習塾』を運営

している、とよく言っている。それはどういうことかというと、ここは

最初から学力の高い進学先に合格できることを目標として学習を

スタートするのではないということ。短期間で学力を引き上げると

いうことはそんなに難しいことではない。ただ、その目標のために

短時間で引き上げた学力はすぐに衰える。そして、もっと問題なのは、

その先に創造する力が残らないということではないかと思う。

つまり、次の目標がなかなか自分で生み出せないということ。


では逆に、その目標を生み出す力をどのように育てるのか。

その力を育てるためにはスタートラインはとても大切なものになる。

『学ぶってことは楽しいことだ』、そう子供達に思ってもらうことが

そのスタートラインになると僕は考えている。そのために考えること、

まずは『子供達がもっと学びたいと思う探究心を育てること』、

そしてその探究心を育てるために、『子供達にひとつの角度では

なく、様々な角度から物事を見る方法、考える方法があることを

授業の中で実践してみせることで視野を広げるきっかけを作ること』。

そのために僕達教える側ができるのは、『知識を知る方法を子供達

1人1人が育てていけるように、子供達が入りやすい入り口を見つけ、

まずは入ってみようという気持ちが生まれるきっかけを作ること』。

理解するのに必要な知識を説明することはもちろんだけど、学習

というのは受動的ではなく、あくまで能動的なものであるべきだ。

この本にもフィンランドの先生の言葉に印象的な言葉が

あったので引用させてもらうと、『数学を教えているのではなく、

数学を学ぶ子供達を教えている。それが数学の教師なのだ。』

この言葉、本当にその通りだと思う。知識というのは、興味が

わいてくるならば、身に付けようと思えばいつでも身に付けられる。

僕自身、今塾で高校生・大学受験生に全教科指導しているけど、

高校時代は文系だったから、物理・生物・数学Ⅲ・Cなんて一度も

勉強したことはない。この仕事をする中で、生徒達から教えて欲しい

と言われて独学で勉強して今に至る、という感じだ。ただ、知識を

使いこなすまでには苦労もあるし、挫折しかけることも多い。

その壁にぶつかったとき、複数の考え方を創造できる力というのは

大きな助けとなる。そういった方法を子供達が創造できるように、

子供達がまだ見ぬ色々な角度から知識に光をあてて、きっかけ

を作るのが先生の大切な仕事、僕はそう思っている。


子供達が学ぶ楽しさを感じ、さらに学びたいという欲求を持ち、

ある分野に興味・関心が大きくなって、その結果さらに学力的に

高い場所で学んでみたいと思うなら、僕は全力でそれを応援する。

そういう過程を経て、その中で『進学』の目標が形成されたなら、

またそのステップでさらに次を創造しながら歩いていけると思うから。


この前、1人の生徒が僕にこんなことを言っていた。

1年前、塾に入った頃は勉強って何でするんだろうって思った。

こんなに楽しくなくて、つらいことを。でも、今は楽しいなって

思うんだよね。ここで勉強をしていると、全く自分に必要ないと

今は思うことでも、やってみると案外色々と自分に役立つもの

だよって言葉の意味がわかってきたよ~と。


僕は生徒達が嫌いとか苦手と言ったときには、子供達が興味・

関心のあることと結びつけて具体的な例を出しながら学んで

みるきっかけを作るようにしている。そうすると、自分に関係ない、

だからこんなのもうやらない、そう投げ出していてもそういう

視点で考える方向性も生まれるから、少しずつ子供達の中で

考え方が変わっていく。焦る必要はない。子供達の中でひとつの

考えが育つまでは、いくつものきっかけを置いていくのが僕の

役目。学習というのは短距離走じゃなくて長距離走。スタート

で転んでも、後でいくらでもスピードアップすることも可能な

ものだから。


その生徒の最後の言葉が何より嬉しかった。

僕は、自分のために勉強して、その中で将来やりたいことを

探していくよと。その言葉、成長してきたからこそ言える言葉。

この言葉を励みに、僕自身もさらに1人の人間として成長して、

もっと幅広い視野から、子供達のきっかけ作りができる人間

になっていきたいと思った。


ちょっと本の感想から脱線してしまったが、この本を通して、

フィンランドの教育に対する考え方と僕自身の教育に対する

考え方は目標としているところが同じだなと感じ、だからこそ

いい刺激を受けた。僕は、よく『20年後』というラインを基準に

考えていると言っているのだけど、『教育』は何を目的として

いるのか、フィンランドで行われている教育から、その根本を

もう一度考えてみるよう促してくれる一冊かなと感じた。

僕自身、これからさらに子供達の将来の可能性を広げる、

そして自ら切り拓くために必要な能力を育てることのできる

人間になれるよう、努力していこうと気持ちを新たにした。


そして、いつかフィンランドで実際にその教育の場を見ること
が出来たら、そう願っている。まずは、フィンランドの言葉
から勉強しておこうかな。


今読んでいる本もまた面白い本なので、読み終わったら感想を

またこのブログに綴ってみたいと思ってマス。