2015年10月10日13:04キックオフ@西京極陸上競技場兼球技場 天候:曇

京都 0ー0 岐阜


【京都メンバー】
GK清水圭介。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、バヤリッツァ、下畠翔吾。MF底にキム・ナミル
、前に右から宮吉拓実、山瀬功治、原川力、駒井善成。FW大黒将志。
SUB:杉本大地、山口智、内田恭兵、田森大己、永島悠史、フェホ、有田光希
監督:石丸清隆

(選手交代)
76分、原川→永島:ポジションそのまま。
85分、宮吉→有田:大黒と有田のツートップになり、山瀬が右へ。


【岐阜メンバー】
GK常澤聡。DF右から野垣内俊、渡邉将基、岡根直哉、冨士祐樹。MF右から高地系治、ヘニキ、青木翼(85分:→風間宏矢)、ジウシーニョ(87分:→砂川誠)。FWレオミネイロ、難波宏明(92分:→高木和道)。
SUB:太田岳志、阿部正紀、宮沢正史、遠藤純輝
監督:ラモス瑠偉


【審判団】
主審:上田益也 副審:中井恒、大西保


【得点】*サイドは攻撃側から見て
なし


【警告】
京都:なし
岐阜:野垣内(23分)、渡邉(24分)、レオミネイロ(84分)



6試合連続ドロー中の京都。
今節はホームに戻り、同じ勝ち点で並ぶ岐阜との対戦となりました。
岐阜と京都は同じ勝ち点ですが、得失点差では京都が大きくリードしており、今後の残留争いにおけるポイントともなりそうです。
前節、4-1-4-1のシステムで戦った京都ですが、今節も継続。スタメンは変更があり、アンカーとしてキム・ナミルが久々出場。伊藤に替えて宮吉が右サイドに入りました。



中央へのこだわりが強めてしまった閉塞感


京都は前節から中盤の形を変えて戦っていますが、これは山瀬と原川の2人を軸にボール保持を高め、スムーズに中央から前線に運んでいく狙い。
群馬戦では比較的スムーズに運べる印象もありましたが、今節では低調な出来に終わってしまい、決定機もそれほど創ることができないままスコアレスドローとなりました。

原因としてはスタートポジションと岐阜の独特の守り方にあったでしょうか。

伊藤が外れ、右サイドには宮吉が入っていましたが、本職がストライカーである宮吉は中への意識を強めに持ってプレー。
中央からの崩しをチームとして意図し、狭い局面でもボールを受けられる宮吉の足元の上手さを使いたいという考えでしょう。
しかし、逆サイドから駒井も中央に入ってきて、山瀬と原川も前に出ようという意識があるという中で、中央のスペースを自分たちで狭めてしまった印象が強かったですね。

さらに岐阜はマンマークをベースにした守備を敷いていて、山瀬には青木、原川にはヘニキ、駒井には高地もしくは野垣内、宮吉には冨士が付いてきました。状況に応じて多少の受け渡しもしていたものの、マンマークで付いてくることによって、中央のスペースは大きく制限。

これにより、後方からなかなか前に入れられず、入れてもその後のプレーが難しくなってしまうことに。

中央に密集すると、当然サイドが空いてきます。
右では宮吉が中に入る分、石櫃の位置を高くする狙いもありましたが、岐阜もここは割り切っていて、アタッカーであるジウシーニョが石櫃に合わせてポジションを下げ、スペースを消しにきました。
ただ、岐阜の守備も京都の左サイド側は怪しく。
攻撃のキーマンである高地がボールを引き出そうと動く分、守備に移った時の切り換えは甘くなっていました。
特に下畠がポジションを前に取ると、駒井と合わせてどう見るかは曖昧になっていたので、そこから崩したいところでした。しかし、ここは京都にとっても攻撃がぎこちなくなってしまうところでもあり、上手く使い切ることはできず。

後半には長いボールをサイドに入れたり、中盤から裏への飛び出しを増やしたりすることによって、岐阜のマンマークを剥がそうとするプレーは増えましたが、崩し切るには至らず。
細かなパスのズレも多かったですし、交代選手も含めてサイドを有効に使う手筈はそれほど持っていないことも大きく影響しました。
右サイドの広いスペースを石櫃に任せる様相が強まるとともに、それをケアするために全体のバランスも崩れ気味に。
前半からマンマークを引きずって運動量も多くなっていた山瀬の足が止まりがちになってからは、岐阜のカウンターであわやの場面を作られることになってしまいました。岐阜もこのくらいの時間帯では石櫃に青木を当て、ジウシーニョを右に移して前に出してきましたし。

なんとか清水の好セーブで凌いでスコアレスドローとなりましたが、もどかしさの残る試合となってしまいました。



トライすべきものと見失ってはいけないもの



岐阜は勝ち点1でも良しとする意識があったでしょうか。それぐらいの割り切った守備隊形でした。
得失点差を考えれば岐阜が前に出る展開もあるかなと思っていましたが、そうはならなかったですね。
試合後のラモス監督のコメントを見ても、(リップサービスも有るとはいえ・・・ラモスだからないかもしれないけど・笑)京都を残留争いの直接のライバルとは見ていない印象もありました。

一方でドローゲームの続く京都はそろそろ勝ちたいところでもあり、特に攻撃を意識したシステム変更であったために、攻撃面で手応えを得たいところでもあるでしょう。
反面、得失点差で優位に立つだけに、岐阜に勝ち点で上回られたくないというのも石丸監督の頭にはあったでしょう。
京都と岐阜のこの認識のギャップが、京都にとって試合運びを難しいものとした印象はあります。


攻撃に関して言えば中央に多く人数を掛けようというものの、崩しは基本的に即興性に頼っている印象ですし、個々の精度が高いレベルで噛み合わないと引いた相手はなかなか崩せないでしょう。
ビルドアップを安定化するために中盤を厚くしていますが、次は最後のところで詰まりやすい状態に。
相手を広げて間を突くにも、今節はサイドを使い切れずに終わりましたし、攻撃に関しては「どこを重点化するのか」というところで試行錯誤は続きそうです。

石丸監督になってから守備面の改善を優先してきて、一定の成果が得られています。
今節も右サイドに宮吉がいることによって守備はより整えやすいというメリットもありました。岐阜があまり前に出てこないのもありましたが、守備への切り換えは速く保てていましたし、ポジションに戻るのもスムーズ。
ここから次は攻撃へ、となる中で今の試行錯誤がありますが、残留争いに巻き込まれている中でのやりづらさもあります。

岐阜との位置関係を考えると、もちろん勝ちたい試合である一方で、最優先されるべきは岐阜に勝ち点3を与えないことであり、リスク管理を行いながら戦うべき試合でした。
それが交代策にも現れていましたね。
原川ではなく山瀬を残したこと、3枚目を切らなかったことが石丸監督の考えでしょう。


そういった中で最もやってはいけないことは、攻めあぐねているうちに知らず知らずバランスを崩しすぎ、カウンターから危険な場面を招くことで。
清水のビッグセーブに救われましたが、青木のスルーパスに難波が抜けだしたシーンはその最たるもの。上述の石櫃を前に上げていく中でその裏を気にし過ぎるあまり中央のケアを怠った菅沼と、不用意に前に出ていこうとしたバヤリッツァとキム・ナミルの判断ミスでした。
群馬戦でもリスク管理の怪しさがあり、今後も心配なところです。

攻めあぐねるとどうしても前に逸ってしまいますし、「リスクを掛けなければ」という意識に必要以上に囚われてしまいます。
そうではなく、焦りや大事に行かないといけない、という思いの中でも技術を安定して出し、適切なリスクマネジメントを行いながらトライをしていかなければ。
苦しい状況の中で安定して技術を使えるようにならなければ選手としての成長もありませんし、言い換えればこのタフな状況でいかに戦えるか。
実のところ、再現性高くチャンスを作れる状況になっていないわけですから、攻撃面では紙一重な戦いをしていることになり、よりシビアに試されるところでもあります。
ベースとなる技術に加え、メンタル的にもタフにならなければいけませんね。



―2015シーズン通算記録―
9勝12分15敗 勝ち点39 38得点 46失点
今節終了時点:18位

【ゴール】
15点:大黒
4点:有田、宮吉
2点:石櫃、ダニエル・ロビーニョ、バヤリッツァ、伊藤、駒井
1点:山口、菅沼、奥川、佐々木

【アシスト】
4アシスト:駒井、伊藤
3アシスト:キム・ナミル、有田
2アシスト:石櫃、宮吉
1アシスト:山瀬、内田、大黒、佐々木、原川、磐瀬

【累積警告】
3枚:ダニエル・ロビーニョ、磐瀬、バヤリッツァ
2枚:山口、大黒、和田、駒井、内田、有田、原川、菅沼
1枚:佐々木、山田、宮吉、キム・ナミル、ファン・ジンソン、伊藤、石櫃


*キム・ナミル、バヤリッツァ、石櫃は累積警告4枚による出場停止が一度あり
*宮吉、菅沼、磐瀬は一発退場による出場停止が一度あり