全選手評もこれが最終回です。
今回はFWの選手たち。


8 フェホ
リーグ戦6試合出場
天皇杯2試合出場 1得点
*7月に新疆天山雪豹足球倶楽部(中国)から加入

2メートル近い身長と、それに似合わぬスピードを持ったFW。
札幌時代に対戦した時は工藤浩平が試合開始前にこっそり背比べしてたことでお馴染みである。
確かなぜか握手してたはずだ。
身長がある程にはヘディングは上手くはないのだけれど、抜群にデカイので相手を引っ張ることができ、攻撃のオプションを持たなかったチームにとっては後半のリズム変化の助けとはなっていた。
しかしコンディションがそれほど上がってこず、武器であるはずの爆発的なスピードを出せる機会はほとんどなかった。
ほとんど受けに来られなかった上、ゴール前から離れればできることが限られていたことも痛かった。
ある意味、出オチ感の強い選手と言える。
と言っても陽気な振る舞いはまさにラテン。
天皇杯で大学生相手に同点ゴールを決めた時に延々とやって怒られたり、フクアリで見た時にはなぜかCKを直接決める練習をやっていたり、ゴールを決めた選手を潰すかの勢いで祝福に行く様だったり、なんかこうマスコットぽい愛らしさがあって俺は好きである。どっかJリーグのチームが取ってくれねぇかな。


9 ダニエル・ロビーニョ
リーグ戦15試合出場 2得点

群馬から加入したブラジル人ストライカー。
意外にもと言っては失礼かもしれないが、真面目に守備もしようとするので右サイドハーフとしても起用された。
強引なドリブル突破に期待が持てた一方、ポストプレーやヘディングはそれほど得意でないようで。
攻撃の形が作れていないことや、彼自身のボールタッチが安定しないことも関係していますが、ロングボールを放り込まれては潰されるというのはなかなか見ててツラかった。
試合をこなすうちにツートップを組むことが多かった大黒との関係も良化している印象があり、コンディションさえ上がってこればと思っていたものの、なかなか上がってこないまま。
群馬時代のようなキレが見られないなぁと思っているうちに岐阜へレンタルされることが決まった・・・かと思ったら肺塞栓症に罹っていることが判明。
レンタル移籍は取り止めになるとともに療養生活に入った。
あまり詳しくはなかったが、肺塞栓症は呼吸困難に繋がることが多いそうなので、走れないのも当然だったのだろう。
来季の契約更新が既に発表されているが、まずは元気にピッチに立てるように。
シーズン終盤には練習にも参加していたようだし、期待したいところですね。


13 宮吉拓実
リーグ戦33試合出場 4得点 3アシスト
天皇杯2試合出場 2得点 1アシスト

ユース昇格組の代表格。富山への期限付き移籍から帰ってきました。
もうプロ8年目になるんですね。
2012年の骨折、2013年の半月板損傷と立て続けに負傷してから調子を崩していて、持ち前の吸い付くようなトラップやシュート感覚があまり見られなくなるなど、トップフォームから遠ざかっている印象でした。
富山への期限付き移籍で常時出場することによって感覚は戻ってきたようで、今季は一年を通じて試合に出ることはできました。
だいぶ状態も戻っていて、アウェー磐田戦で鋭い飛び出しと的確なボールコントロールからカミンスキーを破った一撃のように、宮吉らしいファインゴールも出ました。
ただし、チーム事情もあって、本職のFWよりもサイドハーフでの起用が多くなってしまったのは残念。
得点数も伸びず、わずか4ゴールに終わってしまうことに。
守備意識が高いこと、足元が起用で細かな繋ぎを苦にしないこともあって、十分サイドハーフでやれるタレントではあるけれど、一方でその器用さによって本来のポジションで使われにくいという側面がありますね。
負傷以降、大木、和田、石丸それぞれの体制時いずれでもサイドの起用が中心でしたし。
言い換えれば、本来の場所ではなくても使いたいと思わせる選手でもあります。
ずっとストライカーとして見てたのは実はQさんくらいかもしれない(笑・・・っていいのかどうなのか)。
今季も有田とツートップを組んだ時が最も良かったのですが、中盤の守備やボール保持を高める理由で4-1-4-1となってからはウイング起用が多くなりましたね。
中央で有田が動いてスペースを作り、そこへ宮吉が入っていってシュート・・・という狙いは石丸さんだけでなく以前にもあったよくある形でしたが、そもそも左サイドが詰まっていたり、中央に密集ができやすかったりで上手く行かないところがありました。
また、ヘディングはそこそこ強いものの、チームとして高い位置にボールを運ぶことができていなければワントップとして起用することも難しく。チーム状態の煽りを食ったとも言えます。
結果でストライカーの位置を掴みとって欲しかったのですが、有田とともに決めきれないシーンも多かったか。
周囲との連携で相手の裏を突いてゴールを奪うスタイルなだけに、試合を重ねながら連携面を深めていく必要もあったでしょう。
彼自身も指揮官に信頼されるだけのものを見せないといけないし、起用する側も一定の配慮・我慢が必要な選手かもしれません。そういう意味では同じタイプかつ国内屈指の実績を誇る大黒がいたというのは痛恨だったか。
重ねてになりますけど、結果で奪い取って欲しかったですが・・・。
それこそ大黒は『得点数』という結果は出し続けてますからね。
また、ここまで8シーズンプロとして過ごしていますが、1年間をフルに戦い抜いたというのはかなり少ないのが実際のところで。
2011年後半にようやく確固たる地位を築いたものの、そこから前述した負傷続きでしたし。
育成組織上がりの代表格だった彼も、来季からは広島でプレーすることになりました。
Jリーグ王者からのオファーは魅力的ですし、年齢と今後の成長を考えれば快く送り出したいところです。
京都でずっとやって欲しい気持ちもあるのですが、駒井と同じくいろいろなものを背負いすぎている印象も強く、若い彼らにもっとノビノビとやって欲しいという思いも同時にあって。
また、本人のコメントや伊藤に関する記事で書いたように、ユース育ちの代表格というのは背負いすぎていると同時に甘えにも繋がりかねないのは確かで。
元々引っ込み思案な性格で線の細かった彼が、徐々に気持ちを前面に押し出すようになり、チームの中心としてやっていくんだという気構え・風格が出てくるのを見るのは本当に楽しかったです。
広島ではワントップもしくはシャドーでの位置で起用されると思いますが、ぜひストライカーとしての能力に磨きをかけ、佐藤寿人からポジションを奪い取るような選手になってほしいですね。
そのためには『結果』が大事だ。
それができる選手のはずやし。
ありがとう、ミヤ。頑張れ。


17 有田光希
リーグ戦37試合出場 5得点 3アシスト
天皇杯2試合出場 1得点

昨年夏に負った負傷も癒え、今季はまさに馬車馬のように走り回った一年でした。
FW起用がメインも、開幕戦のように右サイドからスタートして中に入っていく形もありました。
前線でのファーストディフェンダーの役割を担っており、積極的に相手DFやボランチにプレスを掛けて攻撃を制限しようとする姿勢は立派なもの。
ただ、ちょっと守備でエネルギーを使いすぎている印象。
これはチーム内のバランスも影響しているので彼だけの問題ではないですが・・・。中盤の守備の緩さを彼の頑張りで補っているところも大きかったし。
また、攻撃面でもロングボールを体を張ってキープしたり、キープできなくて奪われてもそこから守備をスタートさせたり、彼の犠牲心の高さに助けられる部分も大きい一年でした。
一方で本業のストライカーとして、5得点という結果は本人も不本意でしょう。
決定機ももっとありましたが、モノにできないシーンが多かったでしょうか。
守備でエネルギーを使いすぎている影響はあったかな。枠に飛ばせないというのは。
90分プレーできないことも多かったり、常にどこかを痛めていたりというのもありましたし。
宮吉の項でも書きましたが、宮吉との2トップ採用時に結果を残せていれば・・・というところはやっぱり思ってしまいますね。
チームとして、彼の犠牲心を上手く活かしながらも依存しすぎず、最前線で輝かせたいものです。


28 三根和起
リーグ戦2試合出場 (J3リーグ5試合出場 1得点)

悩めるユースっ子3号。
今季もほとんど試合に絡めず・・・。
恵まれた体格を今ひとつ活かしきれない印象は強いですね。
今季もパワープレー要員として投入されたアウェー徳島戦ではほとんどボールを受けられず。
終盤戦で出番が回ってきたアウェー栃木戦でもシュートチャンスを活かしきれないなど、存在感を示すことはできず。
来季はアルビレックス・シンガポールにレンタル。
年齢も考えると、これがラストチャンスでしょうか。


31 大黒将志
リーグ戦40試合出場 16得点 1アシスト
天皇杯3試合出場

2シーズン続けてチームのトップスコアラーも、今季はチーム内での立ち位置が揺らいだ一年でしたね。
大黒については、シーズンまとめ・その3 でも取り上げたので、そちらを見ていただく方が良いかも。
和田体制下では不動のCFで、副キャプテンに就任したこともあってか、引いて組み立てに参加しようとしたり、守備に加わったりする形が昨季より増えていた印象。
それが効果的かというと別の話だったのですが。
ゴール前でのみ輝ける選手ですし、そこから離れてしまうとほとんど仕事はできず。
もちろん本人もそれを意識していて、前線に張ることになるのだけど、次はボールが運ばれてこないという。
パサー不在というのは大黒にとっては痛手であり、パスが出てこないとどうにもならない大黒を前線に据えたことによる辛さがチームにはあり。
守備が整っていて、元々の狙い通りにショートカウンターを繰り出せていればそこまで問題にはならなかったかもしれませんね。
それでも少ないチャンスをしっかりゴールに結びつけていくというのはさすが。
見てて唸らされるようなシュートも相変わらず多かったし、シューターとしてはやはり一級品。
また、リードしている時なんかに勝ち点3にこだわって自陣に戻って守備をするなどのプレーにはプロ意識の高さを感じました。
だからこそ上記のまとめで書いた石丸体制下での振る舞いが残念なのですが・・・。
この時期にはゴールが止まってしまっていたことも、問題をこじらせる原因に繋がったかもしれませんね(それでも宮吉や有田よりゴールを重ねているのですが)。
たぶん退団ってことになると思いますが(そういえば何も情報出ないね)、一方で石丸さんが大黒を納得させてスーパーサブとして使うことができるのであれば、チームにとって大きい部分もありますし、石丸さんの監督としてのパーソナリティーであったり能力であったりの成長に繋がる側面もあるように思いますが、どうなりますか。


35 沼大希
リーグ戦出場なし
*2種登録

まだプレーを見たことがないので評価はできません。
U-18プレミアでは得点王争いをしていたようですし、まずはプロの感覚に慣れて、得点感覚を磨いて欲しいですね。
ユースっ子の悩める現状を憂いている一方、長所を「自由に」伸ばさせている感のある状況は、ストライカーにとってはもしかしたら良いのかもしれず。『ゴールを奪う』という一点で集中できるわけですから。
それでも上手く行かなかった時にどうするか、ってところかはあるかもしれないけど。
実際にプレーを見て、またそのあたりは考えていきたいですね。




以上です!

2015シーズンもいろいろありましたが、ぐだぐだと書き連ねてきました(笑)
2016シーズンに向けての動きが活発ですが、今季限りでチームを去る選手も多いため、長々と書いた部分もあります。
新しく来る選手もいれば、残る選手もいるし、新しいチームに行く選手もいます。
いつも思っているのですが、縁があって京都でプレーした選手には、どこであってもプレーヤーとしてもっと伸びていって欲しいものです。
また、プロのサッカー選手として生活できるのはほんとに限られた人たちで、しかも人生において限られた期間だけです。
見ている側・憧れている側の勝手な意見なのかもしれませんが、だからこそその限られた時間をしっかりと過ごして、常により高みを目指して欲しいと思います。それがサッカー選手である喜びでもあるはずですし。
それを見て楽しむことが、何よりこちらとしては幸せなことですし。

さて、2015シーズンの記事更新はこれで終わりです。
2016シーズンはどんな形かまだ決めてませんが、多分同じようにやると思います(笑)
ところどころ穴は空くかもですけど。今季もそうでしたし。

とにかく、今季お付き合い頂いた方々、ありがとうございました!