親の病気
最近、同じ動機でここへ来られる、偶然といっていいかな、そういうことがありました。来たのはお母さんで、二人とも、最近からだの具合がよくないとおっしゃいます。
いままで、子どもが結婚をしないことについては黙っていたが、ここへきて私の体調がどうもよくない。身体が悪いと思った瞬間、やっぱりこのままではいけない、結婚してほしいし、できることなら孫の顔が見たい、ということらしい。
子どもが結婚をしないという悩みを抱えるお母さんの年齢は、おおむね、50代の終わりから、ときには70代にかかる人も多い。私もこの年齢にあたります。出来るならば黙っている、というのも分かるかな。気持ちは分かる、ということ。
いつまでも結婚しない。どうしてなんだろう。恋はしているのかな。仕事が忙しいのかな。いろいろ思うことはあるが黙っている。
しかし、それが、自分の体調不良になった途端に、どうにも黙っていられなくなる、というのは、分かり過ぎるほどに分かるのです。
私は、あなたの未来を見ることはできないの？ この腕に私は、あなたの子どもを抱くことはないの？ という、それは根源的な悩み。
あまりたくさんの賛同は得られないと思うけど、私は、親の病気をきっかけにする結婚というものがあってもよいと思います。それが動機のすべてというのはないだろうけれど、何割かがそれでもかまわない。
だって、少なくとも今日まで､お母さんお父さんの愛情を受けて生きてきた。還すならそれはいまじゃなくて、いつ？
