「信頼はよいものだ、しかし統制はもっとよい」

ウラジーミル・レーニン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北方領土問題

 

 

1945年8月9日 ソ連が対日戦争を開始

ポツダム宣言受諾後も軍事行動継続

 

 

9月5日まで侵攻を続け、南樺太、千島列島全体

および歯舞・色丹まで占領した。

 

 

56万~76万人を連行し、奴隷的労働に使役した。

(=シベリア抑留)

 

 

サンフランシスコ講和条約で

日本は、千島列島を放棄することに同意

 

 

戦争の結果として出来上がった状態に

「お互いにとやかく言わない」

 

 

ソ連は、「勝者の寛大」によって

歯舞諸島と色丹島を日本に返してあげる、という論理構成

 

 

これで手打ちになれば、平和条約を結ぼう

要点は、日本はこれ以外すべて諦めるということ

 

 

鳩山政権は領土の面で犠牲を払っても

ソ連との関係改善を図った。

 

 

しかし「ダレスの恫喝」が行われた。

重光葵外相に、沖縄返還を拒絶を告げる。

 

 

「(一)

北方領土問題が日ソ間で解決することを妨げ

日本人の非難の目が、米国の沖縄占領に向かないようにする。

 

 

(二) 

日本にソ連に対する強い敵意を持ち続けさせ

(略)日本を米国の側にとどまらせる」

 

有馬哲夫 『CIAと戦後日本』(P31・32)

 

 

沖縄か歯舞・色丹か、米国かソ連かで

沖縄、そして米国を選択した。

 

 

「四島を返還せよ」というのは、無理筋

友好関係樹立の頓挫を目指し、それはよく機能してきた。

 

 

沖縄に米軍が居座り続けているが、恫喝されたものの

後継者たちは、日本政府を構成している。

 

 

「日本固有の領土」という概念は、対米無限従属外交方針の永続化であり

無原則なご都合主義を正当化させるための、方便にすぎない。

 

 

歯舞・色丹以上のものを要求する態度は、駄々っ子の主張

日本国民の大部分が、それを理解できてない。

 

 

この要求を貫徹するためには、サンフランシスコ講和条約の否定・破棄だが

日本社会は、「敗戦の否認」によって、それを直視しない。

 

 

日ソ共同宣言からソ連の対日参戦の道義的問題は

日本のシベリア出兵で、相殺されるべき

 

 

「どっちもロクでもない」が

国家の振りかざす「正義」は、この程度のもの

 

 

自国ならば無条件的な正義を振りかざす、幼稚な心性を清算しないといけないが

「敗戦の否認」を続ける限り、決してできない。

 

 

 

竹島問題

 

 

サンフランシスコ講和会議を不服とした韓国は

1952年に「李承晩ライン」を宣言し、竹島を領土とする。

 

 

54年 竹島に駐留部隊を派遣、実効支配を開始

日本の漁民が拿捕・拘束、銃撃され、死傷者は44名にのぼる。

 

 

1965年 日韓基本条約で一応解消

日韓漁業協定(65年締結、99年新締結)で、「暫定水域」

操業面において、日本側が実質的に譲歩する結果となる。

 

 

 

「現在の領土観は、国家共同体の概念が生まれ、彼らが暮らす場所として

特定領域を画定した、近代国民国家以降にできたものにすぎない」

 

朴裕河 『和解のためにー教科書・慰安婦・靖國・独島』(P186)

 

 

竹島問題だけ、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を打ち出しているが

ほかの領土問題について言及しないのは、ダブルスタンダード

 

 

これを解消しようとすると、ポツダム宣言と

サンフランシスコ講和条約、敗戦の事実と向き合うことになる。

 

 

尖閣諸島問題では、「解決なき解決」に失敗し

ICJの調停へ踏み出すこともできない。

 

 

それは何を意味するのか、唯一の方法は

最終審級、戦争による「解決」しかない。

 

 

 

 

 

各々の国民にとって、繊細な問題はそっとしておく

これが戦争を起こさないための外交の基本だが

 

 

古典的なマルクス・レーニン主義者は

戦争で解決するしかないという。

 

 

対米従属を嫌悪、中国共産党への属国化はよし

揉めている領土は、みんな差し出す

 

 

解決するには、戦争しかない。

しかし原発に恐怖し、核武装に至っては論外

 

 

解決するために、日本は、米国と戦争を行なうにあたって

核兵器なしの戦争をして、総力戦を行い、勝たねばならない。

 

 

 

 

これが、日本の戦後左翼の主張のようである。

もし揉めているすべての領土が、日本に返還されたとする。

 

 

しかし現在の日本の国土の状況を見れば

地方の疲弊は明らかで、インフラの脆弱さ

 

 

地方経済の著しい衰退、財政均衡主義によって

現有している領土すら、守れていない。

 

 

このような状況下で、領土が返ってきても

そこへの投資は、無駄でしょと一蹴される。

 

 

まず現有している領土、つまり地方の衰退を止めること

インフラを始めとした強力な投資を行う必要がある。

 

 

国土の均衡ある発展に、日本が向かい

また再び国土の均衡ある発展を成せば

 

 

領土問題についても、日本国民は思いを馳せるだろう。

戦後左翼の望み通り、今の日本には領土問題など存在しない。

 

 

あるのは、敗北主義のみである。

 

 

 

 

 

 

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CIAと戦後日本