国家の命運 (新潮新書)/薮中 三十二




アジア太平洋局長として北朝鮮の核や拉致問題の交渉に

あたった藪中氏が、退官した後に、外交の裏側を出せる範囲

で最大限率直に語ったと思える内容。

藪中氏は、中華思想で覇権主義の中国、核を持った独裁政権の北朝鮮、

日ソ不可侵条約を一方的に破り50万人もの日本人を捕虜として

シベリア抑留をするようなロシア(旧ソ連)という3国に囲まれた

地政学上、極めて困難な国のアジア太平洋局長だけにその危機感を

しっかり認識した上で、外交をされていたことが良く分かる。

本書は、中国漁船が体当たりする前に書かれた本だが、尖閣諸島に関しても、

「尖閣諸島は日本固有の領土であり、領土問題は存在しない」という

真っ当な立場を取っていて、「日本として、領土、領海をしっかりと

保全すべきは当然であり、万全の態勢を築いていくべし」という

主張をされている。

これだけ真っ当な外交官がいても政治が3流であれば国の行く末が

危うくなる。

子供や孫の世代に今の大人たちがもっと責任を持ち、行動すべき

なのだ。