BLUE BLUE BLUEという映画を見た。

オーストラリアが舞台のサーファー・ムービーである。

サーフィンを通して、青少年たちが成長する物語である。

しかし、オーストラリアでサーフィンするとき、

あんなに肌蹴てて、いいのかね。

金髪碧眼美形白人青少年たちが、あんなに紫外線に曝されてて、いいのかね。

だってオーストラリアといえば、オゾン層薄くなってて、紫外線の激しいお国柄。

…オーストラリアの皆さん、スミマセン。


物語的に気になったのは、やはり主人公ジェシーの双子の弟のファーガスかね。

男の子たちの誰もがサーフィンしてる町の中で、

サーフィンしてない個性派。

ま、最終的にはサーフィンしちゃうんですけど。

好きな相手がサーフィンしてるし、好きな相手が教えてくれるから、

そりゃ、サーフィンするのも当然なんだけどさ。

しかし、素人なのに大きな波に向かっていったせいで、

お兄さん(双子の兄ジェシーではなく、その上にいる異母兄弟のほう)が死んじゃったのに、

彼じゃなくジェシーのほうが悩んでるのは一体なぜ。

いや、ジェシーだってそりゃ悩むだろうけど、

ファーガスのほうももっと悩んで然るべきでは。

だって、悩むどころか、悩める兄ジェシーを元気づける役回りも演じてるし。

お前(ファーガス)のせいで兄ちゃん(ビクター)死んだんじゃんよ、

と、ツッコミを入れずにはいれないフヂヲ。

いや、もちろん、ジェシーには、

アンディの代わりに試合に出ることになってしまった葛藤とか、

ファーガスは素人なんだからちゃんと監督してなかった自分が悪いという責任感とか、

悩みどころがいっぱいあるだろうし、

ファーガスだって、それが分かってるから必要以上に落ち込むことができなかったのかもしれん。

自分が落ち込めばジェシーはさらに落ち込むと分かってるから。

ま、ファーガスはお兄ちゃんのことよりも、

同時に怪我したアンディのほうが気になって仕方なかったのかもしれんが。

しかし、このアンディ、曲者である。

一見、ありのままのファーガスをありのままに受け入れてくれている素晴らしき理解者のように映る(見た目も美しいしな)が、

実は、これは、いちばん厄介な類いのただの優しさ、である、たぶん。

平たく言うと、表面的な優しさということになるのだが、

こういう、本当に全てを受け入れる気のない中途半端な優しさが、いちばん残酷なのである。

もちろん、アンディのほうには罪の意識なんてなくて、

本当にファーガスのことが好きではあるわけですけど。

だからこそタチが悪いのである。

こういうい優しさに関して、浜崎さんが歌にしているので、ご参考までに。

このテのタイプは、

大学時代くらいまではファーガスと付き合うような感じのことはするものの、

大学卒業してすぐくらいに、

とっても家庭的なタイプのしたたかな女の子とデキチャッタ結婚して、

ファーガスに結婚式でのスピーチを頼んだりして、

さらに、花嫁がお色直しをしている間にファーガスの肉体を求めてきたりするね、きっと。

何の良心の呵責も感じずに。

…最悪だな。

ファーガスも、よせばいいのに、結婚式に出席したりして余計に傷つくのだが、

ファーガスこそ優しいから、自分の苦しみを隠して、

アンディの幸せを願うのである。

健気なファーガス。

それから数年。

アンディのほうは、結婚式当日から暗雲が立ち込めていた結婚生活が見事に失敗に終わり、

離婚して、

やっぱり俺にはお前しかいないんだ!

という感じで、ファーガスのところに戻ってきたりするのである。

ファーガスのほうは、やっとアンディの影を振り払った頃で、

アンディのいない自分の人生を歩み始めているのだが、

戻ってきたアンディを受け入れてしまうのである。

よせばいいのに。

でも、

結婚生活の失敗で疲れ切ってるアンディなんて本当のアンディじゃない!!

僕の力で昔のキラキラしてた頃のアンディを取り戻させる!!

なんて張り切っちゃったりして。

で、アンディは、ファーガスの許で立ち直るのだが、

立ち直ってキラキラし始めた途端、

ファーガスの許をあっさりと去り、

あっさりと、とっても家庭的なタイプのしたたかな女とデキチャッタ再婚したりするのである。

またも裏切られ、傷つくファーガス。

かわいそう。

さらにそれから数年。

二度目の結婚生活も案の定破綻し、再びファーガスの許を訪れるアンディ。

ファーガスは、アンディのことが今でも好きではある。

でも、アンディのためにも、ファーガス自身のためにも、敢えてアンディを拒むファーガス。

そのとき初めて、自分がどんなに酷いことをファーガスにしてきたか、気づくアンディ。

でも時すでに遅し。

ファーガスとアンディは、やっと、お互い別々に歩いていく決心をするのである。

そして、さらにそれから数年が経ち、

ファーガスとアンディ、お互いがお互いのいない人生に慣れた頃、

偶然二人は再会するのである。

ファーガスは恋人と同棲中。

アンディは一人で頑張ってる感じ。

アンディ「なぁ、ファーガス、俺は今でも…。本当に俺にとって必要なのはお前だけなんだって、分かったんだ。」

ファーガス「そのセリフ、もっと早く聞きたかった。でももう僕たちはお互いを必要としちゃいけないんだ。」

アンディ「今からでも、やり直したいんだ。」

ファーガス「そんな、無理だよ。」

アンディ「そうか、そうだよな。ごめん。俺、もう行くよ。さよなら。」

立ち去るアンディ。

アンディの背中を見つめるファーガス。

ファーガス「アンディ、待って。」

というわけで、長い時を経て、二人は一緒になり、

いつまでも幸せに暮らしたのでした。

happily ever after、っと。

別に、二人は別々に生きていく、という結末でも全然良かったんですけど、

やっぱりハッピーエンドがいいので。

実は全然ひねくれていないフヂヲなのでした。