2019年10月5日(土)月組『I AM FROM AUSTRIA』を宝塚大劇場にて観て参りました。

日本初演が宝塚歌劇という、ウィーン発ミュージカル。

個人別キャスト感想です。
ネタバレを含みますので、まだ知りたくない人はご注意下さい。


★珠城りょう(94期・研12)
ジョージ・エードラー
ホテル・エードラーの一人息子。

爽やかで誠実な好青年・ジョージを生き生きと演じています。
『カンパニー』の青柳さんが若返った感じ?
珠城さん本人の実直な人柄がそのまま……素なんじゃ?

難しい曲ばかりなのに、音程も安定し、声もよく伸びる。
本人比ではありますが、上達されたなと。

鳳月杏との父子の掛け合いは、息の合ったコンビ漫才のよう。
珠城さんもリラックスしてて、父子のようでもあり、兄弟のようでもあり。

美園エマとの並びお似合い。
顔の輪郭が似ている事は、並びのバランスをよく見せるポイント。
加えて、さくらちゃんが珠城さんより一回り小さく見えます。

さくちゃん、トップ娘役に決まってから身体を絞り続けてますものね。
珠城さんのアスリート体型はご周知の通り。
鍛えられた身体同士のパワースリムコンビ。

元々の骨格に加え、互いの努力が、バランスの良いお似合いのコンビを創り上げているんですね。

デュエットダンスも、高い位置での高速リフトと紳士的なエスコートが頼もしい。

現実の男性に近い分(ごめんなさい)、よりリアルに夢を見せてくれる男役さんです。


★美園さくら(99期・研7)
エマ・カーター
ハリウッドの人気女優

さくちゃん、歌いっぱなし。
音域も曲調も多種多様で、一筋縄でいかない難曲揃い。
それらを気持ちを込めて歌いこなしています。

猫っぽい顔立ちのさくらちゃん、気の強そうな、華やかなハリウッド女優の役がハマります。

大人っぽく、アルトで話す声がとても似合います。
滑舌も良いし、声もよく通り、台詞も聴き取りやすい。

『エリザベート』『ファントム』『20世紀号に乗って』『王家に捧ぐ歌(アイーダ)』等にもいえる事ですが、海外ミュージカルはヒロインの力量に負うところがとても大きい。

宝塚では男性を主役に据えますが、元の話はヒロインの比重がさらに高いケースが多いかと。

ヒロインをトップ娘役に担わせるなら、歌唱力・表現力が成否の鍵を握ることは否めません。

雪組の『ファントム』や『20世紀号』が真彩希帆抜きに語れないように、美園さくらがいてこその『AUSTRIA』かもしれませんね。


★月城かなと(95期・研11)
リチャード・ラッティンガー
美園エマのマネージャー

おかえりなさい、月城さん!
お元気そうでホッ。
パワーアップしての舞台復帰。

『夢現無双』では珠城さんの幼馴染(本位田又八)を演じた月城さん。
今回は悪役。
『All for One』のベルナルドを彷彿とする、イヤミで感じ悪〜い奴に徹しています。

悪役美形って、たまらない組み合わせ。
月城さんの端正な美貌が、凄み・ワルさを強調するのね。
ワルに徹するほど、コミカルに見えてくるのもベルナルドを思い出します。

珠城ジョージに対して「ウィンナー野郎」と決まり文句のように悪態をつく月城リチャード。
ベルナルドの「壁」を思い出します。

フィナーレのパレードでは、2番手羽根を背負って登場。
二幕物だから、今回はトップ以外は羽根なしかな…と思っていたので、まさかの2番手羽根姿にビックリ。
後から、ジワジワきました。

齋藤吉正先生は、珠城・美園・月城をトライアングルと表現。
「たまれいこ」「たまさくれいこ」は今回から…と思えぬほど、ナチュラルに馴染む並び。

「立場が人を作る」というけれど、抑えていたものが一気に溢れ出てきたような、パワフルな存在感に満ちています。
今まで観てきた月城かなとは何だったの?…と思ってしまうほどに。

借りてきた子猫が、黒豹に変貌したような月城かなと。
舞台の芯をガシッと支える、頼もしい2番手さんです。


★鳳月杏(92期・研14)
ヴォルフガング・エードラー
珠城ジョージの父

月組的には「おかえりなさい、ちなつさん」ですね。

もともと月組出身で、現トップとは新公時代から苦楽を共にしたちなつさん。
今回、ダンディな髭のおじさま役。
しかも、スーツ。
しかも、お茶目。

妻(海乃美月)に頭が上がらず、息子の肩を持っても、妻にひと睨みされるや、手のひらを返す。

笑いを取っても、出過ぎず、やり過ぎず。
己の個性を打ち出しつつ、真ん中を立てる絶妙なバランス。

ちなつさんは踊る時、大きく見せようとせず、群舞ではむしろ省スペースな踊り方をされます。
上級生なのに、周囲への配慮が感じられる踊り方なんですよね。
それが、とてもスマートで切れ味の良いダンスに繋がっています。

安定の歌唱、呼吸の合った芝居、無駄のないシャープなダンス。
印象に残るけれど、悪目立ちしない。

未沙のえるさんのパーチェスター(ME AND MY GIRL)がそんな感じでしたね。
…って、この事例は時が経ち過ぎて通じないかも。
ごめんなさい。

明日海さんは退団後、月組の東京公演をきっとご覧になることでしょう。
懐かしい面々が活躍する舞台をご覧になり、飛び入り参加したくなるかもしれませんね。
 
ちなつさんの存在の大きさを改めて感じています。


★海乃美月(97期・研9)
ロミー・エードラー
珠城ジョージの母、女社長

なんと珠城さんの母親役?!
…と思いきや、意外なまでにしっくり。
美しき女社長であり、マダム。
ちなつさん(鳳月杏)との夫婦がまたお似合い。

アルトで歌い上げるナンバーは余裕さえ感じます。
ダルマ姿に変身は驚いたけど、スタイルばっちり。
(そりゃあ、海ちゃんだもんな)


★白雪さち花(91期・研15)
ミス・ツヴィックル
旅行会社の社員

遠目で観てたら、かつみさゆりのさゆりちゃんみたいな、若くて可愛い女の子が…と思ったら、さち花さん。

声でわかりました。
こんな声音がつくれるのは、月組の白雪さち花か、雪組の舞咲りん(多分)

本作でも存分に、芸達者ぶりを披露してくれました。


▽続きます。次は、ありおだ♪( ´▽`)
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