新鮮胚移植凍結胚移植か、どちらが良いのかわからず悩んでおられる方は多いのでは無いでしょうか?

 

 

そこで今回のブログでは、新鮮胚移植と凍結胚移植のメリット、デメリットを解説したいと思います。


  いわゆる一般法で過排卵刺激を行った場合には、卵胞ホルモン(E2)が過剰に分泌された状態になります。

 

このような状態で新鮮胚移植を行って、妊娠が成立すると、OHSS (卵巣過剰刺激症候群)の発症リスクが高まります。

OHSSが重症になると、腹水や胸水が溜まったり、血液濃縮が起こり、大変深刻な事態を招くことがあります。

OHSSのリスクがあるときには、移植をせずに全胚凍結(できた受精卵を一旦すべて凍結保存する)が良いでしょう。

 

また、過排卵刺激を行った場合には、採卵前から黄体ホルモン(P)が上昇しがちです。

このPによって子宮内膜の変化が早期に起こってしまうと、胚と子宮内膜の同調性が損なわれかねません。採卵前からPが上昇するような場合には、やはり全胚凍結が良いでしょう。

 


 

では、新鮮胚移植が向いているのはどのような場合でしょうか。

 

自然周期採卵や、低刺激法(マイルド法)では、卵胞ホルモン(E2)値の過剰や、黄体ホルモン(P)の早期上昇は起こりにくくなります。

従いまして、自然周期採卵や、低刺激法(マイルド法)で採卵した場合には、新鮮胚移植は選択肢となります

ただし、クロミッド(クロミフェン)を多く使用した場合には、クロミッドの副作用として子宮内膜が薄くなることがありますので、このような場合には、全胚凍結がオススメです。

当院では、月経開始から採卵までにクロミッドを6錠以上使用した場合には、原則として新鮮胚移植よりも凍結胚移植をご提案しています。
 

(文責:[理事長] 塩谷 雅英)

 

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