「優子?」
突然俯いたままになってしまった幼馴染みに声をかける。しかし反応はない。
また何かおかしな事でも考えているのだろうか?
健太はこんな優子の姿を見るのが怖かった。
どこかうつろな目をする彼女は、自分が知っている彼女じゃないようで、近寄りがたくなる。
いつからこうなってしまったのか、健太はよく分かっている。
それは、彼女の母親が彼女をかばって交通事故で亡くなった日からだ。
何を考えているのかは分からない。だけどきっとよくないことだ。
どうすれば彼女は、優子は前みたいに笑ってくれるのだろう?
自分には、到底無理なのかもしれない。その術すら分からないのに、どうにかしたいなんておこがましいのかもしれない。
それでも、それでもどうにかしたいって思うのは、彼女が、優子が好きだから。