新しい学校に転校しても、いじめっ子は何処にでもいる。
新しい学校にも、一人いた。
色々とやらかしてくれる子だった。
学校帰りに石を投げ付けたり、鞄に悪戯したり。
まあこれ位の年頃の男の子は、気になる女の子にちょっかいかけたがる物だが、心とは反対に悪さをする事の方が多い。
特に転校間も無い女子に対するいじめ行為は、気を引きたい場合が多いものだ。
だからと言う訳ではないのだが、そう言った場合主に単独行動である。
ただ、娘の場合せっかく良い方向へ向っているのに、ここで逆行させられては元も子もない。
同調する奴が出てくる前に、手を打っておく必要がある。
予定としては、授業参観の時に暗黙のプレッシャーを植え付ける作戦だった。
方法としては、相手の子は娘の隣の席だったので、娘に「いじめられてはいないか?」と質問をしながら、そいつを睨み付けて「いないなら良いね」と言いながら、娘の机を一発どついて帰ってくるだけなのだが、中2程度の男子なら、これだけで十分だ。
皆、優しい親になりたがるが、男親は怖さも必要だ。
子供同士でも、ヤクザの子供をいじめようと言う根性の座った奴は滅多にいない。
別にヤクザにならなくても、ヤクザを名乗らなくても良いのだ。
勝手に思わせるだけで、効果てき面なのだ。
これも、私の中学時代の経験から来ている。
建設業の父親を持つ子供がいたのだが、建設業では「組」が付く社名が多い。
それだけで「あいつの家はヤクザじゃないのか?」と言って、いじめっ子連中は一切そいつには手を出さなかった。
それの応用で、勝手に思わせておけばよい。
しかし、それを実行する前にチャンスを向こうが提供してくれた。
私の店のショーウィンドウを通りざまに叩いていったのだ。
しかも、私の店は防犯ショップで、その行為がしっかりとモニターに写っている。
すかさず、学校に電話して一部始終を話してやった。
その子は、先生からの問い詰めに「やってない」とシラを切るのだが「ビデオあるよ~」の一言にあえなく撃沈!
つまり、他の事も写っていると思い込んでしまう訳だ。
実際、この日の他にも色々と写っていた。
一旦思い込んだ相手がどう言う思考に進展していくかは、私の専門分野である。
それ以上追い込むと、相手の心理にも悪影響を及ぼす可能性がある。
先生からも「反省しているようなので」と言う事だったので、すぐに許した。
まあ、目的は達成している。
その目的とは「心の歯止め」だ。
そして娘には「多分捨て台詞を言って来るけど、その後は問題なくなる」と言っておいた。
その翌日、案の定「お前は先生に言って鬱陶しいから、相手にしたらん」と、意味不明な捨て台詞を残し、以後は一切何も無かった。