犬を飼っていると時々別離不安を覚える犬がいる。
飼い主がいなくなると「キュ~ン」と言う悲しげな声を出して鳴くいたり、飼い主の留守中に吠え続けたりする行動を取る。
また、外出から帰った飼い主に吠える場合もある
これが、犬の別離不安なのだが、甘えん坊の犬や飼い主に対する依存心が強い犬に見られる。
短時間の外出などで孤独に慣れさせる訓練を行っても改善が見られない場合は、抗精神病薬の投与をする事もある。
つまり、犬の精神疾患とも言える。
原因は、子犬の頃に3ヶ月以内に母犬から引き離されたり、飼い主が可愛がりすぎたりした場合に起きる。
実は、今飼っている犬が別離不安を持っている。
私の実家は、商店を経営していた。
その為、四六時中人がいる状態だったのだが、両親が他界すると実家に残っているのは姉だけである。
その姉が勤めに出ると、犬は誰もいない孤独な時間を過ごす事になる。
その為、二匹いた犬がどちらも別離不安に陥ってしまった。
私が実家に戻った頃には、一匹が9歳の雄で、もう一匹は10歳の牝で、雄の犬の方が最初に別離不安に陥った。
牝犬が来た頃はまだ父も余命半年で、看病の為に家を留守にする事が多く、幼年期から孤独を体験していた。
しかし、雄犬が来てしばらくして父が他界し、家に常に人がいる状態で、父がなくなった事もあり蝶よ花よと育てられた。
その後、母も他界し、家には姉だけになってしまった。
その姉が仕事に出かけている間は犬だけの孤独な時間になってしまった。
牝犬は雄犬がいるだけで、別離不安を感じなかったようなのだが、雄犬は初めて孤独を体験した。
その為か、ストレスが色々な形で現れてしまった。
致命的だったのが、便秘だ。
その雄犬は、孤独を感じ始めてから急に太りだしてしまった。
最初は運動不足と思っていたのだが、実は違った。
太り始めて1~2年した時、震えていたので病院へ連れて行った。
そこで、レントゲンを撮って初めて肥満の原因が便秘だと分かった。
レントゲンを見ると、腸に物凄い量の排泄物が溜まっていた。
犬の浣腸はかなり危険な事らしく、先生は肛門から指を入れてかき出した。
その後便秘対策をいくつもするが、何の効果もなかった。
そして、茶色い嘔吐、つまり排泄物の逆流をするようになり、最後の手段として浣腸をしたのだが、今度は排泄が止まらなくなり死んでしまった。
今思えば、その便秘や振るえは自律神経症状だったのかもしれない。
雄犬が死んだ後、雌犬も別離不安に襲われ、ストレスのために前足で口を掻く行動を取り始め、そこから機能腫瘍が発生してガンになってしまった。
エリザベスカラーで矯正を試みたのだが、エリザベスカラーをしたら被害妄想が強くなり、近くを歩いただけで「キャン」と悲鳴をあげ、いつも脅える犬になってしまった。
現在14歳と言う事もあり、手術をすると体力がなくなりそのまま帰らぬ犬になる可能性がある事と、手術で腫瘍を取り除いても、機能腫瘍の為にすぐ生えてく来くるので手術をしても意味が無いと医者から言われている。
さらに、別の所に転位している可能性も高く、何もせずに天命を全うさせる事が最良と言う事になった。
今、その犬の介護中だ。
この別離不安は犬だけの話ではない。
人間にも別離不安はある。
次は人間の別離不安について書こうと思う。
ちなみに、スタンドアローンな動物の猫にも少しは別離不安があるのかもしれない。
私の猫は、常に家族のいる所にいる。
私がトイレに行けば、トイレの前で待っているし、風呂に入れば脱衣場で寝ている。
今も振り返れば奴はいる。
外出して帰ると必ず出迎えに来る。
しかし、家族が留守の時でもマイペースだが、どうやら「家」と言う事を意識しているらしい。
そんなマイペースな猫なのだが、牝なのに尿管結石をやった事がある。
その時に、動物病院に一日入院したのだが、餌も取らず、血糖値が急上昇、肝機能障害、腎不全も併発し、もう危ないので引き取りに来て下さいと言われて、引き取りに行ったのだが、その時に先生に「今日が山です」、無理やりでも餌と水を食べさせてくださいと言われ、症状を逐一報告する事になったのだが、家に帰るとそんな病気は何処吹く風!
いきなり餌を食べ初め、水は山ほど飲み、家の中を飛び回っている。
一時間前はもう駄目と言われた猫が、家に帰っただけで治ってしまった。
その事を報告すると、獣医の先生は「これだから猫はわからん」と笑っていっていた。
どうやら、家を離れた事にストレスを感じていたらしい。