面白い実験がある。

男女それぞれ10人に、肉体的特徴が分からないような同じ服を着させ、髪の毛を隠す帽子を被る。

その帽子に1~10までの番号をつける。

そして、なるべく高い数字の人とペアを組むように指示を出す。


誰も自分の数字は分からない。

分かるのは他人の数字だけである。


すると、数字の高い人の所へは多くの人が集まり、数字の低い人の所へは誰も来ない。

数字の高い人は、集まって来る人の中から、なるべく高い数字の人を選べばよい。


高い数字の人に申し込みに行って、断られた人は次に高い数字の人を探す。

その時には、次に高い数字の人もペアが決まっていたりする。

そして、ペアになっていない人の中から落とし所を探っていく。

最終的には自分の数字に近い人としかペアは組めない。


これが人間の社会力学的行動である。


帽子に書いてある数字は、自分の価値や魅力を意味している。

自分の価値や魅力は自分では分からない。

それを決めるのは、他人から見た評価である。



幼稚園児程度の時は、みんな一緒、分け隔てなく遊んでいても小学生に入る頃から、この社会力学的行動が現われ始める。


例えば、友達とする野球。

誰でも、花形であるピッチャーや4番バッターをやりたがる。

自分から進んで外野手やキャッチャーをやろうとする子供は滅多にいるものでは無い。

但し、一番でライトなど有名スターのポジションは別である。


しかし、自分がやりたくても、自分より球が速かったり、コントロールの良い子供がいれば、自分がピッチャーをしたくてもさせてもらえない。

みんなの総意でポジションは決まる。


そこで、それが自分の位置である事を受け入れられれば、自分の居場所が出来るが、自分の位置を受け入れられなければ友達の中で孤立する。

また、自分の位置を受け入れて、精進すれば花形のポジションよりも光る事が出来る。

自分の位置を受け入れられず、花形ポジションにこだわっていれば、何時までもうだつは上がらない。





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