いや~結構怖かった。


特に、呪いの病室のラストは隙を疲れた感じで「オ~!」と声を出してしまった。


しかしまあ、最初の赤い爪は、幽霊さんに手足をつかまれたら、見えている時に殴ったり蹴り飛ばせば良いと思う。


まあ、信じられないかもしれないが、これは経験者としてのアドバイス。

幽霊さんに手足を摑まれて、幽霊さんに攻撃を仕掛けると出てこなくなる。



あれは私がまだ24の頃、自分で企画したスキーツアーでの出来事。

私は添乗員として同行し、現地3泊のツアーで10人部屋に一人で寝泊りしていた。


その部屋での初日、夜に寝ていると何やら人のような物が、手を引っ張っている。

その引っ張る手を払い除けて再び眠りに付く、すると今度は頭を引っ張り出した。


頭を引っ張る手を払い除けて再び眠りに付こうとすると、今度は足を引っ張っている。


段々腹が立って来たので、その人みたいな物に「いい加減にしろ!」と怒鳴り付けながら蹴り飛ばした。

すると、その人みたいな物は消えて行き、出て来なくなった。


それ以後何度もその部屋で寝ているが、出て来たのは最初の一回だけだった。



似たような体験を、私の昔の同僚も経験している。


昔の同僚に片目の無い「片目のターちゃん」と言うオッサンがいた。

また別の同僚に「チューやん」と言うオッサンもいた。


チューやんは「アル中」の意味があり、飯も食わずに酒を飲んでいた。

仕事の時も、コップを持参で仕事に行く。


そして近所の家を訪問し、この「コップに一杯酒を売ってくれ」と言って回る人物だった。

コップ一杯500円で買っていたので、結構売ってくれた。


そんなチューやんが、体調を壊して倒れた。



体を壊して仕事が出来なくなったチューやんは家賃も払えず、飯も食えなくなったので、チューやんと仲の良かったターちゃんが、チューやんを引き取って面倒を見ていた。


ターちゃんがチューやんを引き取ったのには、もう少し深い事情が有った。


体を壊してから、身内を探したのだが、その身内は引取りを拒否。

好き勝手な事をして身内に迷惑を掛けて出て行ったのだから、今更面倒見など見たくないと言う。


そんな事も有って、ターちゃんが引き取る事にしたのだ。


しかし、体調不良の原因は、飯も食わずに酒ばかり飲んでいた事による栄養失調。

ターちゃんがどれだけご飯を食べさせようとしても食べようとしない。


その頃にはもう食事を受け付けない体になっていた。

そしてドンドン衰弱していった。


仕方がないので、生活保護医療で入院する事になった。


入院後、1週間ほどでチューやんは死んだ。

チューやんの家族は、遺骨の受け取りも拒否したため、チューやんは無縁仏となった。


無縁仏になってからの事、ターちゃんの部屋にチューやんが出て来たと言う。


ターちゃんが寝ていると、ターちゃんの足や手を引っ張っていたと言う。

そして今度は頭を引っ張り出し、ターちゃんは「あんなに面倒を見てやったのに」と腹が立って来たと言う。


そして布団から起きると同時にチューやんを殴り飛ばし、「俺が何をした!面倒見てやったのは俺だぞ!」と怒鳴りつけたと言う。


するとチューやんは消えて行ったそうな。



実は、幽霊みたいな物を蹴り飛ばしてから、私は幽霊を見なくなってしまった。

いや、厳密に言えば見なくなったわけでもない。


その後も何度か見ているのだが、見る幽霊のタイプが変わった。


以前県営住宅に住んでいたのだが、その部屋の番号は402号室。

日本人に取っては不吉な番号なのだが、家内は外人なので関係無い。


しかし、そこに住んでいた時、こんな事が有った。

私が寝ていると、子供時代の貞子のような少女が私の手を引っ張り、私がその少女に目を向けると、台所の方へ走って行き消える。


そんな事が毎日続いた。(幽霊は何度も見ると怖くなくなる)


そしてふと思った。


お腹空いているのかな?何か飲みたいのかな?

まあ考えてみれば、そこは伊勢湾台風で沢山の人が死んでいる所でもある。


そう思って、毎日寝る前に台所に水を入れたコップとお菓子を置くようにしたら、その日から出て来なくなった。


あの部屋はその他にもおかしな事があった。


まだ2歳か3歳の娘が、隣の居間で夜の8時頃に一人で遊んでいた。

私と家内は、寝室でTVを見ていた。


すると、娘が「今、おばあちゃんがこれくれたの」と言って、泥にまみれたグリコのおまけの様なおもちゃを持ってきた。


家には、私と家内と娘しかいない。


すぐに娘の遊んでいた部屋に行っても誰もいない。

娘に、何処におばあさんがいたの? と聞くと「わかんない」

積み木で遊んでたら、お婆さんが出てきて、くれたと言う。


家内は怖がっていたが、「おもちゃをくれる優しいお婆さんだから良いじゃん」と言ったら、「そうだね」って事で、娘に「ちゃんとお礼は言った?」と聞き、娘は「うん」。


「じゃあ、まっいいか」で終わった。


そこを引っ越してからは見る事も無くなった。


母もある意味怖い人だった。

母が入院中の事だ。


母が「あの人どうしているのかな~」と言うと、数日後にその人の訃報が届いた。


最初は偶然?と思っていたのだが、それが4人も5人も続くと流石に怖くなる。


私が見る事は無くなったのだが、見える体質は娘にも受け継がれている様だ。

それは近日中に書く事にする。