★★★★

 

斜線堂有紀さん、初の児童書だが大人が読んでも面白い。

「この世界をちょっとだけ正しくしたいと思ってる」と言い切るのは謎の転校生・杜屋譲。
瞬間記憶能力を持つ和登尊とタッグを組み、絶対に成績が上がる塾の悪徳塾長と対決する。

中学生という立場をフル活用し、並外れた頭脳で相手をやり込めるさまは爽快。
相手が悪ければ悪い程、その爽快感は倍増する。

天才的な杜屋に対し、人間味もある和登。
キャラも魅力的で二人のコンビネーションが抜群。

杜屋の行動は正義とは言い難い面もあるけれど大好物な勧善懲悪もので読後スッキリ。

次作も楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

「彼の名は」
「有情無情」
「わたしが告発する!」
「君は認知障害で」
「死にゆく母にできること」
「無実が二人を分かつまで」
「彼女の煙が晴れるとき」
「花火大会」
8話収録。

それぞれの作品に令和の時代の生き辛さや多様性が反映されている。

一話から強烈。
独自の価値観で突っ走る母親を持ったばかりに起きた悲劇。
これは笑えない。

二話も悲劇だが、善意で取った行動が誤解を生み、まさかの顛末を迎える。
同情を禁じ得ない。

四話のオチにホッとしたのも束の間、その後も不穏でゾクゾクが止まらない。

どこへ転がるか想像出来ない意外性に満ちた一冊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

「結婚なんてろくなもんじゃない」
「真実とクラッシャー」
「親心というものは、きっと」
三話収録の連作短編集。

『カワイソウ、って言ってあげよっかw』でハマった作家さん。
この作品もテンポが良くて面白かった。

幽霊になった幼馴染の琴子と、新米弁護士の祐一がタッグを組み事件を解決していく。
有り得ない設定もなんのその。

卑屈で毒舌の祐一と、天真爛漫で優しい琴子とのやりとりが最高に楽しい。

被疑者の供述にまんまと騙されそうになる祐一を、琴子のナイスサポートで嘘を暴いていくのが気持ちいい。

ほんのり切ない弁護士×幽霊のバディ小説。