卵巣刺激の適切な開始時期は生理中か? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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卵巣刺激は生理2〜3日目から開始することがほとんどです。

ただ近年報告によると、どの時期から開始しても卵胞が育つというランダムスタートが現在提唱されており、少しずつ広まりつつあります。

 

特に前回ブログにも掲載しましたが、1周期に2回採卵するDuoStimに関しては、凍結胚が増える速度が倍速のため、今後広く行われると予想されます。

 

生理中からスタートすることのメリットは、新鮮胚移植が行えること、卵巣の腫れがないため卵胞が育ちやすくかつ採卵がし易いこと、ホルモン値が従来通りのため計算がし易いことなどが挙げられます。

卵巣機能が正常な方の場合にはやはり生理中から刺激をスタートするという従来通りの方法が好ましいと思います。

 

ただ特別な事情がある場合や、卵巣機能が低下している場合には早く凍結胚を確保しなければいけないため、ランダムスタートや、DuoStimのような治療方法も必要であると考えています。

 

この辺りは状況を見ながら臨機応変に使い分けていくことが大切であると思います。

 

Flexibility in starting ovarian stimulation at different phases of the menstrual cycle for treatment of infertile women with the use of in vitro fertilization or 

intracytoplasmic sperm injection 

Fertil Steril 2016 106, Issue 2, Pages 334–341.e1