凍結胚が何個あれば良いか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

「38歳です。先日採卵をして凍結胚が2個できました。胚盤胞でグレードが4ABと4BCでした。2個では少ないかと不安です。今後どのようにしたら良いでしょうか?」

 

このようなご質問がありましたのでお答えします。

 

38歳の場合、4ABは40%程度の妊娠率で、4BCは30%程度の妊娠率かと思います。

 

次に採卵をしてもう少し凍結胚を増やすか、または早く移植して一人目を産むことに重点を置くか、ここが悩みどころです。

 

38歳だと妊娠しても流産する可能性も考えなくてはいけません。ある程度の確率で流産は起き、完全に防ぐことは不可能です。流産すると3ヶ月から4ヶ月くらい間が空くことになります。精神的なダメージも大きなものです。

 

ここは夫婦の考え方や家族計画にも大きく左右するところです。

二人目を考えているのならばもう一度採卵をして凍結胚を増やしたほうが良いかと思います。初回の移植で成功して出産したとして、二人目を妊娠するのは40歳を超えてきます。ここで再度採卵をすることももちろん可能ですが、38歳の卵子よりは確率が下がることは間違いありません。

今は一人目でそこまでの余裕がない、一人いれば十分、このように言う方も多くいますが、実際に一人目が生まれ、育てていくと、この子に兄弟が欲しい、男との子が生まれたら次は女の子が欲しい、保育園の周りのお子さんにも兄弟ができたなどでもう一人欲しくなるケースがとても多いです。

実際当院でもとても多くの方が二人目で通院しています。

 

私の意見としては、ここはもう一度採卵をして、同じような凍結胚を作り、その後移植をすることです。

 

流産や二人目の問題を考え、卵子の老化を踏まえると、この作戦のほうが賢明であると思います。