腹腔鏡手術後のゴールデン期間は | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

半年前に腹腔鏡の手術をしました。術後半年以内が妊娠しやすいと聞きました。今月で半年が過ぎてしまいます。せっかくオペを受けたのに妊娠しにくくなる事が不安です。いつまでオペの効果が続くのでしょうか?

 

この様な質問がありましたのでお答えします。

 

これは病気の原因、オペの際の所見により様々です。

子宮内膜症の重症な方で癒着剥離を行い卵管や卵巣をきれいにした場合には、生理が来る事で内膜症は悪化するため半年くらい経過するとまた再発している可能性は十分あります。

そのため半年位がゴールデン期間と言えます。

 

一方クラミジア感染症による癒着剥離をした場合には病気の再燃は生理とは特に関係ないため半年程度ではあまり変化がなく1年程度はゴールデン期間があるかと思います。

 

卵管水腫がある場合には卵管開口術をしっかりと行い、縫合する事で再発は防げます。軽度から中等度の卵管水腫の場合卵管は十分機能するため再発は少ないと考えられます。

ただ程度がひどい卵管水腫の場合、再感染して閉塞し再び卵管水腫になる可能性は有ります。やはり早めに妊娠を目指すべきです。

 

いずれにしても内膜症の場合には生理が病状を悪化させる事は間違いないため、早く妊娠する事が一番の治療になります。

そのため凍結胚がある場合には手術後はなるべく早く移植を行い妊娠する事が好ましくなります。

妊娠期間や授乳期間は生理がなくなるため内膜症は悪化する事はありません。

授乳後は低用量ピルを内服して生理を起こさなくさせて、そのまま閉経までコントロールする事で内膜症の再発を最大限抑える事ができます。