エンブリオスコープで観察していると色々なことがわかってきていて、今までの常識が覆されています。
受精が正しく起きているかどうか、正確に判定することは容易み見えてこれはかなり難しい事です。
一般的にはほとんどの培養室では採卵後その日のうちに受精させて、翌日に受精判定を行います。
タイムラプスの機能がない通常の培養庫を使用している場合、朝の9時などの定点観察しかできないため、その時点で2PNであれば正常受精と判定します。
問題はこの9時の時点で全ての胚が2PNになるかどうかです。
エンブリオスコープで見てみると受精は実に胚により様々で、PN形成が早い胚もあれば遅い胚もあります。
2PNが融合して消えてしまうと受精しているのか、または融合した状態(Syngamy)なのか区別がつきにくくなる事が有ります。
観察時点で0PN、1PN、2PN、3PN(4PN,5PN)というふうに分けられます。
正確に受精判定が出来なくても、その後の発生が問題ないから移植しても良いという考えは正しくはありません。
例えば3PNなどの異常受精胚でも発生して胚盤胞となり移植して妊娠することもありますが、染色体異常のため当然継続はしません。
要は正確に受精判定ができていなければ全てが始まらないということになります。
これを確かめるにはタイムラプス機能がついた培養庫で細かく観察する以外に方法はありません。
もちろん通常の培養庫でも何回も外に出せば観察は可能になりますが、外に出すたびに胚にはストレスとなり発生に良くない影響を与えます。