受精の際の微妙な違いが | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

エンブリオスコープで受精の場面を見ていると様々な映像がみてとれます。

例えば受精に際してはお父さんとお母さんから一つづつ核をもらいますが(雌雄前核といいます)、その雌雄前核の大きさが微妙に異なることがあります。

また雌雄前核が融合場所が卵子の辺縁であることもあります。

そして雌雄前核が融合する際の二つの核の位置が少し離れた位置で融合することもあります。

核小体が多い場合や少ない場合、核小体の配列が違うこともあります。

時には前核が長い間融合しないこともあります。

他にもいくつもありますが、これらは正常の受精に見られる一連の映像と微妙に異なります。

ただ、この様な胚でも、その後の発生において通常の胚盤胞になることも多々あります。
定点観察のみで、受精した、胚盤胞になったことしか見ていないとこのわずかな差を見落としてしまいます。
問題はこれらの胚は移植できるかどうかですが、胚盤胞になれば移植をしても構わないとは思います。

ただ、その他に凍結している胚でこの辺りが正常の経過を取っている胚がある場合には、移植する優先順位としてこれらの胚は後ろにすべきであると思います。