ホルモン補充周期で排卵していても移植ができるか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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ホルモン補充周期で移植を予定していましたが卵胞が育ち排卵していたため、医師からは移植をキャンセルした方が良いと言われました。

ただもし移植を希望するのであれば排卵日が本日なので今日から黄体ホルモンを開始すれば移植を行えるとの説明を受けました。慎重に行いたいため見送ることを決めました。

移植をやめた方が良い理由、移植を行いたいのであれば移植ができる理由とその条件、またその場合のデメリットを含めて教えて下さい。

 

このような質問がありましたのでお答えします。

 

ホルモン補充周期ではエストロゲン製剤により卵胞発育を抑制させてコントロールさせながら内膜を厚くして移植を行います。そのため一般的に排卵している場合、いつ排卵したかにもよりますが、基本的にはコントロールされていないと判断し、移植することは中止した方が良いかと思います。

 

排卵していても移植を行える理由は、プロゲステロン製剤が排卵日から入ることで自然周期にホルモンの補充をした様な流れとなりホルモン補充周期が成り立つからです。

少し難しいですが、要はホルモン補充周期とは自然周期を真似していて、黄体ホルモンが入る日が仮想の排卵日のため、仮想の排卵日が実際の排卵日になるだけのことです。

 

移植ができる条件ですが、排卵日が確実に特定出来る場合です。ホルモン値やエコー所見から排卵日を特定します。Pは1〜2であればプロゲステロン製剤をその日に投与すればそこから移植日を計算することは可能になります。

Pが2〜3程度で、明らかに昨日排卵痛がありどうしても今週期移植をしたいという場合には昨日を排卵日として計算して移植を続行することも可能ではあるかと思います。

 

デメリットですが、排卵日がしっかりと特定できているのであれば特にありませんが、気持ちの面で不安になるのであれば無理はしない方が好ましいかと思います。

 

 

なお似たような質問ですが、「HRT周期で排卵しそうな場合にはどうすれば良いか?」に関して以前にも同様の記事を書いておりますので参考にしてください。