PGT-Aは現在期待される方法として世界で広く行われています。今回日本の施設において検討されました。
PGT-Aは反復流産や反復着床障害において患者あたりの出産率を改善しないと言う日本からの報告です。
2017-2018年にかけて日本の4施設に於いて前方視的な研究を行なっています。171名が参加しています。
反復流産ではPGT-Aを受けた41名と受けなかった38名を調べており、反復着床障害ではPGTA を受けた42名と受けなかった50名を調べています。
反復流産のケースは過去に2回以上の流産をして、その中の一回は胎児の染色体の異常が認められています。
反復着床障害は過去に3回移植して妊娠しないケースを対象にしました。
胚盤胞のTEを生検してアレイCGHで分析をしています。
反復流産の群
患者あたりの正児出産率は以下の通りで有意差無し
PGT-A群 26.8% (11/41)
非PGT-A群 21.1% (8/38)
補正オッズ比1.33 p0.60
胚移植あたりの正児出産率は以下の通りで有意差あり
PGT-A群 52.4% (11/21)
非PGT-A群 21.6% (8/37)
補正オッズ比3.89 p0.028
流産率
PGT-A群 11.8% 非PGT-A群 0% 有意差無し
反復着床障害の群
患者あたりの正児出産率は以下の通りで有意差無し
PGT-A群35.7 % (15/42)
非PGT-A群26.0% (13/50)
補正オッズ比1.69 p0.26
胚移植あたりの正児出産率は以下の通りで有意差あり
PGT-A群62.5% (15/24)
非PGT-A群31.7% (13/41)
補正オッズ比3.75 p0.016
流産率
PGT-A群 14.3% 非PGT-A群 20.0% 有意差無し
この結果から言えることとして、患者あたりと胚移植あたりで結果は異なり、ここが大切な箇所です。
PGTA の場合、正常胚が出来て胚移植できる胚が半数程度まで下がる為、移植あたりの成績は良くなりますが、スタートの患者あたりでみると両者は変わらなくなります。つまり分母が違う事になります。
症例が少なくこの結果だけで結論を出すことは出来ません。またアレイCGHを用いておりNGSで診断しておらず診断の正確性に欠ける事も指摘されています。
有効性が期待されますが、患者あたりで見ると結果は改善していない事を踏まえ、今後は慎重にPGT-Aの適応を見極める必要があると言えます。
今後の更なる追試の結果を見て判断するべきと言えます。
Human Reproduction, Vol.34, No.12, pp. 2340–2349, 2019
Preimplantation genetic testing for aneuploidy: a comparison of live birth rates in patients with recurrent pregnancy loss due to embryonic aneuploidy or recurrent implantation failure