子宮内と体外受精でどちらが良い胚が出来るか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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子宮の中で出来た胚盤胞と体外受精で出来た胚盤胞の染色体を調べていてその割合に差が出るか?を調べています。
子宮の中で出来た胚盤胞を子宮内容を洗浄してカテーテルで回収しています。
この論文は子宮内で出来た胚盤胞をあえて回収するというかなり問題がある論文ですが、体外と体内でどちらが良い胚が出来るのかと言うとても興味深い内容を示している一読すべき論文です。

胚の回収方法は、卵巣刺激をしてトリガーをかけて人工授精をしてその後子宮内を洗浄して胚盤胞を回収しています。134周期に行い136個の胚が回収されています。

この子宮内洗浄システムを用いて胚盤胞を回収しています。

こちらが胚盤胞を回収する際のエコーです。子宮の中に還流液を入れて洗い流して回収しています。

この表は子宮内(in vivo)で得られた胚盤胞と体外受精で得られた胚盤胞の染色体を調べています。両者で差がでていない事が分かります。

この表は子宮内(in vivo)で得られた胚盤胞と体外受精で得られた胚盤胞の良好胚形態を調べています。子宮内の方が良好胚盤胞が高い事が分かります。

この論文から言える事として、「子宮内でも体外受精でも胚の染色体は変わらない」はとても参考になります。ただし良好形態の胚盤胞は体内の方が多く出来ると言う事はやはり体内の方が好ましいとも言えます。しかし体外でも体内でも胚盤胞の染色体正常には差が出ておらず必ずしも子宮の方が良いとは言えないのかと思います。

Human Reproduction, Vol.35, No.1, pp. 70–80, 201 First PGT-A using human in vivo blastocysts recovered by uterine lavage: comparison with matched IVF embryo controls