同一周期に2回目の採卵を | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

 

ボローニャクライテリアという基準を満たしている低卵巣反応の方に対しては同一周期に2回採卵を行う方(DuoStim)が早く妊娠し、累積の出産率が高くなることが今年の1月の論文で出ていましたので以下に紹介します。

この治療方法は採卵をしてその後の高温期に再度刺激して採卵する方法です。

AMHが低い卵巣年齢が高い方や時間がない方に非常にお勧めの方法です


この下のグラフA は一般的な刺激方法 、B はDuoStimの模式図です。

Aの一般的な方法はかなり間を開けながら治療を行っている事が分かります。つまり時間がかかります。

一方BのDioStimは最初の採卵の後4日間休み5日目から再度刺激を開始します。卵胞期FPSと高温期 LPSの2回の刺激で効率良く刺激をして採卵して早く凍結胚を獲得します。

 



この表はDuoStim100名と通常の刺激方法の197名を調べた臨床結果です。

正児獲得率はDuoStim15% vs 通常の刺激 8%でDuoSimが上回る事が分かります。

 


この結果から言える事として、卵巣機能が低下している場合に一周期に二回採卵を行い少しでも早く凍結胚を獲得する事は正児獲得率を高めとても有効である事が示されています。

卵巣機能が低下している場合時間が無いためこの知見を元に正しい情報を提供してこの様なエビデンスがある治療を行う事が好ましいと思われます。


Fertility and Sterility® Vol. 113, No. 1, January 2020

Luteal phase after conventional stimulation in the same ovarian cycle might improve the management of poor responder patients fulfilling the Bologna criteria: a case series