子宮外妊娠は子宮の内膜の厚さと関係があるのでは | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

子宮外妊娠は子宮の内膜の厚さと反比例の関係があるのではという論文です。

通常は子宮内膜の厚さと妊娠率を調べている論文は多くありますが、内膜の厚さと子宮外妊娠を調べるというこの様な報告は今まで無かったので興味深い内容です。

凍結融解胚移植において子宮外妊娠を起こすリスクを調べています。

以下に結果を示します。

 

子宮内膜が14 mm以上の方と比較した場合の子宮外妊娠を起こす補正オッズ比は以下の様になりました。

7–7.9  mm の場合  2.70と上昇

8–9.9 mm  の場合  2.06と上昇

10–11.9 mmの場合 1.66と上昇

その他にこの表から分かることとしては子宮外妊娠を起こすリスクとしては「妊娠回数が多い場合」、「卵管因子がある場合」、「初期胚移植の場合」、「男性因子がない場合」、「ホルモン補充周期での移植の場合」、「2個胚移植の場合」などがあげられます。

 

この結果から言える事は、子宮内膜が薄いと子宮外妊娠を起こす確率が高くなる事が分かります。今まで余り考えていなかった結果でありとても興味深い結果と言えます。子宮外妊娠を起こしたことがある場合には再発するリスクが高まるため一つの回避する手段として内膜を厚くしてからの移植が好ましいと言えるのかと思います。

 

Fertility and Sterility® Vol. 113, No. 1, January 2020 

Effect of endometrial thickness on ectopic pregnancy in frozen embryo transfer cycles: an analysis including 17,244 pregnancy cycles