胚盤胞のグレードと生まれてくる子供の体重は相関する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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胚盤胞のグレードと生まれてくる子供の体重は相関するという興味深い論文が2月号のHuman Reproductionに掲載されていましまので紹介します。


今までは「胚盤胞のグレードは妊娠率と強い相関がある事」はエビデンスがありましたが、この様な胚盤胞のグレードが赤ちゃんの体重と直接関係するとの論文は無かったので一読すべき論文です。


2010-2017年にかけて施行された凍結胚盤胞移植から生まれたケースを後方視的に調べています。


この表は胚盤胞のグレードを4群に分けています。最も良い胚盤胞、良い胚盤胞、普通の胚盤胞、不良な胚盤胞。各々から生まれた新生児の体重を比較しています。

不良な胚盤胞から生まれ新生児の体重(3304g)と比較すると、最も良い胚盤胞から生まれた新生児の体重(3516g)となり183.5g重くなる事が示されています。有意差が出ています。



この結果から言える事として、この様な胚盤胞のグレードと新生児の体重は相関すると言う事は今までは知られていなかった事ですが、今後はこの様な知見を元に最新の情報を患者さんに提供して、新生児の体重による周産期のリスクも踏まえてを移植胚の選択を行うことが今後は求められるかと思います。

Human Reproduction, Vol.35, No.2, pp. 308–316, 2020

The impact of embryo quality on singleton birthweight in vitrified-thawed single blastocyst transfer cycles