東京大学 着床外来 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

以下東京大学産婦人科着床外来に関してです。

 

着床外来は、体外受精・胚移植(IVF-ET)の治療中に着床に問題があったり子宮の状態に不安があったりする方を対象とした、検査を行う外来です。当科の体外受精(IVF)外来と連携して診療を行っています。ホルモン剤で月経周期を調節して着床の検査を行います。

 

着床とは

着床とは受精卵が子宮に接着し妊娠が成立するために過程であり、卵は受精後約1週間で着床します。そして、着床した約1週間後に妊娠反応が陽性となります。

子宮内膜や子宮筋層になんらかの問題があると着床が妨げられることがあります。着床障害とは、体外受精で良好な受精卵を何度か子宮に戻しても妊娠に至らないことを指します。このような場合には、子宮内膜や子宮筋層に着床の妨げになる要因がないかどうかを評価し、異常があればそれに応じた適切な治療が必要です。

検査

(1)MRI検査(cine MRI検査)
cine MRI検査は子宮の動きを記録することができます。子宮筋腫などが原因で、着床期に子宮の異常な動きが起こることがあり、この動きの異常が着床に影響を及ぼしていることがあります。この動きの異常をみるために、cine MRI検査を着床期に行います。cine MRI検査は通常のMRI検査を兼ねており、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮奇形などの子宮の異常も同時にわかります。

(2)子宮内膜組織診・卵巣ホルモン採血
着床期に子宮内膜組織診を行います。子宮内膜が着床の準備のために適切な状態になっているかを調べることができます(子宮内膜日付診)。さらに、子宮内膜の炎症・感染、子宮内膜増殖症や子宮体がんなどの病気を調べることもできます。特に、子宮内膜の慢性的な炎症・感染が、着床障害の原因になることが最近わかってきており、何の症状がなくても知らず知らずのうちに着床障害につながっていることがあります。当院では組織診により、慢性子宮内膜炎の有無をチェックします。

(3)子宮鏡検査
子宮鏡検査により、子宮内膜ポリープや子宮筋腫など、子宮腔内に突出する病変があるかどうかがわかります。また子宮内膜炎があるかどうかを観察します。これらの病変が着床障害を引き起こすことがわかっています。月経直後(から排卵までの間)に検査を行います。

受診にあたり、必要なもの

● 当院を初めて受診される方
かかりつけの不妊治療を行っている病院・クリニックからの紹介状が必要になります。下記の紹介状のフォーマットをプリントし、かかりつけのご担当医にご記入いただいて着床外来の初診時にご持参いただくことをお勧めいたします。

 着床外来宛の紹介状フォーマット+胚移植歴記載用紙[PDF:244KB]
 着床外来宛の紹介状フォーマット[Word:24.0KB]
 胚移植歴記載用紙[Word:24.0KB]

● 当院IVF(体外受精)外来へおかかりの方
IVF外来の担当医に着床外来の受診希望の旨をお伝えください。担当医が予約をお取りいたします。