代理出産と自己卵子でリスクの差は? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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代理出産と自己卵子を用いた場合、妊娠後の周産期の予後に関して調べている演題が2017ESHREにありましたので紹介します。

 

代理出産は1985年に最初に行われてその後増えてきています。ただ代理出産による周産期のリスク、児の予後は良くわかっていません。

体外受精と自然妊娠を比較すると体外受精の方が周産期のリスクが増加するという報告が出ています。

また提供卵子のよる妊娠は周産期のリスクが上がるという報告があります。

 

今回自己卵子を用いた体外受精と代理出産でのリスク(37週未満の早産率、32週未満の早期早産率、2,500g未満低出生体重児率、1,500g未満超低出生体重児率)を比較検討しました。

 1996年から2011年の87,815例の分娩を対象として検討しています。244 名は代理出産、87,571名は体外受精の出産です。 

 

結果

早産に対してオッズ比0.89

早期早産に対してオッズ比0.23

低出生体重児出産に対してオッズ比0.87

超低出生体重児出産に対してオッズ比0.45

以上となり、代理出産と自己卵子での体外受精で有意差を認めませんでした。

 

結論

代理出産と自己卵子を用いた体外受精とで比べた場合、早産率、低出生体重児出産率などのリスクは差を認めませんでした。

 

O-123 Perinatal outcomes following gestational surrogacy versus autologous IVF: analysis of 87,815 singleton live births

33rd Annual Meeting of ESHRE, Geneva, Switzerland 2 to 5 July 2017 

S.K. Sunkara1, B. Antonisamy2, M.S. Kamath3

1:Queen’s Hospital, Assisted Conception Unit, Essex, United Kingdom

2:Christian Medical College, Department of Biostatistics, Vellore, India 

3:Christian Medical College, Reproductive Medicine Unit, Vellore, India