タバコを吸うことは論外です | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

「夫にタバコをやめて欲しいと言うと明かに不機嫌になります。何回もお願いしてもやめません」


これは論外であり即刻やめるべきです。

 

 

以前も記事にしましたが以下再度掲載します。

 

「自分はタバコはやめない。周りにいるタバコを吸っている人の奥さんも多く妊娠しているから。」

 

この様に言う男性がいます。

 

これは到底理解できない言い訳です。

 

タバコを吸っている人の奥様が妊娠していても、それがタバコを吸って良い事には決してなりません。

 

奥様は妊娠しなくて苦戦しています。

少しでも良い精子で卵子を助けるてあげる必要があります。

 

 

男性がタバコを吸う事で4つの大きな問題を引き起こしています。

 

一つ目は自身の健康に対してです。

タバコを吸う事で自分の健康に対して悪い事は全ての方が理解しているかと思います。

様々な癌のリスクが上がる事は周知の事実です。

また成人病のリスクも有意に高くなります。

タバコが健康へもたらす負の影響は言うまでもありません。

寿命が10年短くなり、生存率も25%減少します。

これから子供が生まれたら父親になり、成人するまで育てていかなければなりません。父として20年の責任があります。タバコを吸う事はそれを放棄する事になります。子供の成長を見れない事はとてもつらい事です。途中で自分が病気に倒れ、残されたお子さんはどうすれば良いのでしょうか?

 

二つ目は精子に対してです。

精子は自分の細胞です。自分の健康がそのまま反映されます。タバコを吸っててもたくさん動いているし問題ないはず、そのように言うかもしれませんが、動いている事と質は全く別物です。

今までの数多くの研究でタバコを吸っている男性の精子は異常が多く出ている事が報告されています。これは明らかな事実です。

健康な精子と卵子が合わさり一つの命が生まれます。健康な精子なしに結果を出す事は不可能です。良い精子を用意するという男性が果たさなければいけない責任をタバコを吸う事で完全に放棄しています。

 

三つ目は卵子に対してです。

常に自分の隣にいるのは誰でしょうか?奥様です。受動喫煙、間接喫煙による煙が常に奥様を被曝させています。奥様の健康に良くない事は当然です。ガンのリスク、成人病のリスクも自分と同等に高くなります。

そして体の中の卵子に対しても煙が攻撃します。卵子の質が相当低下してきます。卵子の染色体の異常を引き起こします。大切な卵子に対して様々な悪い影響を与えていきます。

 

四つ目はお腹の中のお子さんに対してです。

移植し、奥様は妊娠してお腹の中に胎児を宿ります。奥様を通して自分の大切な我が子へ自分が吸っている煙が攻撃し害を与えていきます。胎児奇形のリスクや様々な異常が有意に増えてきます。早産、流産、生後の発達障害も有意に上昇します。

 

自分の健康だけなら百歩譲るとしても、大切な子供の命にかかわる問題です。決して自分の健康だけでは済まされない問題です。

 

そこまでしてタバコを吸いたいのでしょうか?

自分の健康、妻の健康、精子と卵子の質、そして子供の健康を害してまで己の欲求に屈して良いのでしょうか?

 

即刻禁煙すべきです。