現在体外受精は世界中で広く行われておりとても有効な治療法であるという事は言うまでもありません。
ただ腹腔内に内膜症や卵巣嚢腫、クラミジア感染による炎症がある状態では、体外受精の力をもってしても妊娠しない方がいます。
3か所、4か所と結果が出ず当院に転院してきて、腹腔鏡手術をしてその後の移植で直ぐ妊娠する方が本当に多くいます。
転院を繰り返す前の若い卵子でも全くかすりもせず、3歳から4歳も高齢になり以前よりも卵子の質は低下していますが腹腔鏡手術をした後は年齢が上がっても妊娠します。
転院前の移植の状況を見てみると本当に良好な胚盤胞を何回も移植しており胚には問題が無いという事が分かります。
転院後当院でのみ良い胚ができたという事ではなく、腹腔内の環境を良くしてから移植したから妊娠に至ったのだと思われます。
またチョコレート嚢腫がある場合には卵子の質そのものが低下しているがオペにより卵子の質が改善するという報告もあります。
「転院して妊娠するのは培養液や培養環境、移植技術が施設ごとに違うのでは?」
この様に思う方もいて、確かにそれが当てはまるケースもあります。
しかし当院の患者さんでも腹腔鏡手術前に移植をしても結果が出ないためオペを受けてもらいその後の移植で妊娠する方が多くいます。
採卵した日は同じで胚盤胞のグレードも同様か、良好胚から移植するためむしろ妊娠している胚のグレードはオペ前よりも下がります。
同一患者の同一周期での検討のため、やはりオペをしたことが良かったのだと考えることが妥当といえます。
日本で本当にリプロダクティブサージャリーが出来る医師は限られている状況で難しいこともありますが、オペを必要とする患者さんには是非オペを受けてから移植をすることを強くお勧めします。