採卵数が少ない場合には移植すべき | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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刺激すると卵巣が腫れるため全部の胚を凍結する方が好ましいという考えが一般的ですが、取れる数が少ない場合凍結する必要はないのでは?という論文です。
これは正しいと思っている概念を覆すとても大切な論文であると思います。

日本では多くの施設で全ての胚を凍結するという流れができていますが、何個採卵されたかにより凍結すべきか、そのまま移植すべきか対応が異なることがこの論文では示されています。

1〜5個取れた場合の新鮮胚、凍結胚での成績
臨床的妊娠率 33.2% vs 15.9 有意差あり
流産率 20.5 vs 26.8 有意差あり
生児出産率 25.9% vs 11.5 %  有意差あり

つまり、採卵数が少ない場合には、新鮮胚移植をした方が妊娠率や出産率が高く、流産率は低い事が分かります。

  • Fertil Steril. 2018 Oct;110(5)  :880-887
  • Freezing of all embryos in in vitro fertilization is beneficial in high responders, but not intermediate and low responders: an analysis of 82,935 cycles from the Society for Assisted Reproductive Technology registry.

臨床的妊娠率  :  青が新鮮胚、赤が凍結胚
採卵数が少ないと新鮮胚の方が高い事がわかります


  • 生児出産率 :  青が新鮮胚、赤が凍結胚
  • 採卵数が少ないと新鮮胚の方が高い事がわかります


    流産率 :  青が新鮮胚、赤が凍結胚