所見がある方が腹腔鏡検査を受けられているイメージなので、やはり何もないと抵抗があります | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

初回の体外受精で妊娠、稽留流産してから以後移植8回連続陰性です。(正常胚でも化学流産)不育症・ERA検査済み。子宮内膜炎治療済みです。最近卵管造影をしましたが、水腫もなく卵管が通っていました。 このような場合でも腹腔鏡検査で原因が出てくることはありますか?所見がある方が腹腔鏡検査を受けられているイメージなので、やはり何もないと抵抗があります。 デメリットなどはありますか?もしくは着床前診断(PGT-A)にフォーカスした方がいいのでしょうか??

 

先日のオンライン説明会でこの様なご質問がありましたのでお答えします。

 

卵管造影検査は正しい評価が難しいです。腹腔鏡手術をすると全く違った結果になります。間接的に見ているため診断精度が低くなります。

当院でも子宮内膜炎を治療してERAも検査して不育症も検査して全て対策を立てても結果が出ない場合に腹腔鏡手術を提案します。そしてその方達の半数が妊娠します。

この様なご質問はとても多く普通のことであると思います。明らかに何も問題が無い中でどうして傷ができる様なオペをする必要があるのか、これは当然の疑問であると思います。

 

ただ冷静に考えて欲しい事として、ここまで妊娠に至らない事は事実であり、要は原因が不明ということになります。もし何もなければすでに結果が出ているはずであり、出産しているはずです。原因が不明である以上原因を見つけ治す事が正しい治療法となります。

 

オペをして何もない方は1割程度います。ただ何もない方もオペをしてその直後の移植で妊娠します。今までかすりもしなかったのに妊娠します。その理由としては卵管内や腹腔内や子宮内を大量の生理食塩水で洗い流すことが効果があるからです。

体外受精はかなり強力な治療方法である事は明白な事実ですが、体外受精でも治せない病気があります。腹腔鏡手術は体外受精と同じくらい効果的な治療方法です。体外受精と腹腔鏡手術は車の両輪といっても過言ではありません。

体外受精でも結果が出ない方には腹腔鏡手術を是非受ける事をお勧めします。内科的な治療法で難しい場合には外科的な力を用いる事が賢明です。

是非勇気を出してオペを受けて欲しいと思います。