『宇宙兄弟』
昨年から今年にかけて、“はやぶさ帰還モノ”の邦画が多かったこと!
角川のドキュメンタリー焼き直し版にはじまって20世紀フォックスの『はやぶさ HAYABUSA』、東映の『はやぶさ 遥かなる帰還』、そして松竹『おかえり、はやぶさ』まで…。
特に後者の3部作に関しては、豪華なキャストと宣伝広告費を投入したにも関わらず、興行的な評価としては全て今ひとつの結果に終わった。
(ちなみに僕は、これらのどれひとつ観ていないのだけれど)
話題になったテーマに安易にのっかっらような企画である印象はぬぐえず、昨今の邦画の悪いパターンをそのままやっちゃったという、ギャグのネタにもならない…と言ったら辛辣過ぎるだろうか。
結論から言えば、はやぶさネタにおいては、事実に勝る物語は、なかったということだ。
はじめからわかりそうなことなのだけれどもね。
唯一、はやぶさ映画に手をださなかった大手が、トップを独走する東宝―。
企画立案の能力、マーケティングセンスの差は、そのまま業績につながっているのだろう、と思わざるを得ないでしょ。
その東宝が選んだ“宇宙モノ映画”が、この『宇宙兄弟』だ。
こちらも昨今の邦画の流行である“コミックが原作の映画”ではあるけれども、さすがにそつのない出来ばえに仕上がっている。
同じくコミック原作の『テルマエ…』に遅れてのGW封切参戦ではあるものの、かなりの興行成績を上げることは間違いない。
主人公の兄弟、小栗旬と岡田将生のふたりの演技がいい!
まるで本物の兄弟のように…
そして、コミックのキャラそのもののように…
スクリーンの中で魅力的に動く。
そして、脇を支えるキャストも…それぞれがいい味を出している。
飛行士候補のメンバーたちも良いのだけれど、
さらにイイトコを持っているのが、堤真一でしょう。
大きな物語を映画の尺に旨くまとめ上げている脚本の大森美香の力量も素晴らしいし、
ヒット連発のプロデユーサー、川村元気の手腕の冴えでもあるのだろうし、
テレビ出身で長編映画は本作でまだ2つめだという森義隆監督の軽やかな演出もうまくはまってます。
もちろん、映像のスケールではハリウッド大作のレベルにはかなわないのだけれども、
十分楽しめて、それでもって“じわっとくる”、オススメの映画です。
原作を知らない方にもぜひ♪