Q&A1757 採卵周期に黄体ホルモンが上昇します | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 31歳、AMH 3.92、子宮内膜症、左卵巣に2cmチョコレート嚢腫・右卵巣に2cm嚢腫
今は凍結胚移植待ちなので、移植を最大限に頑張ることが妊娠への道だと思っていますが、採卵や移植について質問させていただきます。
私は今まで2回体外受精をしてきました。
1度目はショート法で12個採卵、うち3日目胚の1番良いグレードのものを新鮮胚移植し陰性、4CCの胚盤胞一個を凍結し、2周期ディナゲスト服用後に(生理を起こさずに)、2度目はもう一度ショート法で刺激をしたものの、卵子の大きさにばらつきがかなりあり、尿中にLHが出たため(ブセレキュアの抑制が効いていないと言われました・鼻炎などは持っていません)採卵中止し、一旦生理を起こし、3度目はアンタゴニスト法で7個採卵、うち3日目胚の一番良いグレードのものを新鮮胚移植し陰性、4BCの胚盤胞一個を凍結しています。
①2度目の採卵周期前にディナゲストを服用していますが、てっきり生理を起こしてから採卵周期に入ると思っていましたが、ディナゲスト服用後すぐ採卵周期に入ったことが卵子の大きさのばらつきの原因でしょうか。
②2度目の採卵中止の時にブセレキュアの抑制が効いていない、尿中にLHが出ることはあるのでしょうか。
③1度目の時と3度目の採卵前の血液検査でプロゲステロンの数値が高く(1度目1.6、3度目1.3)卵の質が良くないのはそのせいだと言われました。
だとすると、プロゲステロンの上昇をさせないようにするための方法はあるのでしょうか(内服や採卵方法など)
④1度目と3度目の採卵後に卵の質が良くないので早く移植した方が良いとのことで新鮮胚移植をしました。私のようにプロゲステロンの上昇が見られる体質の人は凍結胚移植の方が良いのでしょうか。

A 

ディナゲスト服用後すぐ採卵周期に入ったことが卵子の大きさのばらつきの原因とは思いません。むしろ、バラツキがなくなると思います。もつとも、卵子の大きさのバラツキの有無は、採卵成績とは関係ないことが明らかになっています。

②ブセレキュアによるLH抑制が効きにくい方がおられますが、1回目は大丈夫で2回目が効かないのは、ディナゲスト服用後すぐだったためかもしれません。

③プロゲステロン(黄体ホルモン)の有無は、卵子の質とは無関係です。現在、黄体期スタートや黄体ホルモン投与での採卵が新しい採卵方法として認知されており、これまでと同様に良好な卵子が回収できます。したがって、黄体ホルモンを増加させない作戦を取ることには意味がありません。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の上昇が見られる方には、新鮮胚移植はよろしくありません。また、日本人をはじめ東洋人は、新鮮胚移植より凍結胚移植の成績が良好です。全胚凍結をお勧めします。

 

なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。