Q&A1765 ☆ビタミンDサプリの上限は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在妊娠5週で胎嚢7.1mmが確認できております。
今後のためにサプリメントでビタミンDを摂ろうと思うのですが、海外のサプリメントですと、1錠2000IU以上のもの(多いものですと10000IU)がほとんどなのですが、毎日2000IUも摂取して問題ないのでしょうか。
 
A ビタミンDを毎日2000IU服用しても、多くの場合それほど高濃度にはなりませんが、心配でしたら一度25OH-VitD濃度の採血をしてみてください
厚労省の「統合医療」情報発信サイトに、ビタミンDについて大変細かく記載されていますので、一度ご覧ください。以下に重要なポイントを記します。

 

ビタミンD過剰症(中毒)では、食欲不振、体重減少、多尿、心臓不整脈などの非特異的症状を引き起こす場合がある。より深刻な場合には、カルシウムの血中濃度を上昇させ、血管や組織の石灰化を招き、その結果、心臓、血管、腎臓を傷害する。

①25OH-VitD濃度が常に200ng/mLを超える状態が続くと有害となる可能性がある(N Engl J Med 2006;354:669-83)。

②過剰な日光曝露によってビタミンD中毒を生じることはない(N Engl J Med 2007;357:266-81)。

③中毒を生じさせるほど高用量のビタミンDを食品から摂取する可能性は低い。

④ビタミンD毒性発生の閾値は10,000~40,000 IU/日および25OH-VitD濃度200~240ng/mLである。

⑤米国食品栄養委員会(FNB)は、25OH-VitD濃度が50~60 ng/mLを上回らないようにすべきであるとしている。5,000 IU/日のビタミンD摂取により25OH-VitD濃度が40~60 ng/mLに到達するが、それ以上は上昇しないことが研究で示されたため、FNBは5,000 IU/日という摂取量から不確実性因子20%を除した値4,000 IU/日を、許容上限摂取量として適用した。

 

ビタミンDの吸収力には大きな個人差があります。1000 IU/日で十分な方もいますし、6000 IU/日でようやく改善する方もおられます。採血で確認するのが望ましいでしょう。