Q&A1789 37歳、6回移植して全く着床しません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 夫44歳、妻37歳、タイミング半年、人工授精7回、採卵3回(顕微授精)、移植6回、治療4年目、夫の精子が少なく元気がないということは検査で分かっています
1回目、17個採卵、胚盤胞まで4つ育ち移植。

2回目、11個採卵、5個を体外受精、6個を顕微授精し、3日目分割胚を新鮮胚で1つ移植、残り1つだけ胚盤胞まで育ち凍結中(3BC)。
転院後

3回目、7個採卵、顕微授精、3日目分割胚3つ凍結。8分割胚を移植。妊娠せずの状態です。
医師からは37歳で6回移植して全くhCGの数値が上がったことがないのはおかしいとのことで、慢性子宮内膜炎の検査を勧められ、検査予定です。あとできる検査は夫婦の染色体検査くらいとのことでした。ビタミンDやDHEA、銅亜鉛の検査はしていて、前者2つは服用しています。ビタミンDは3ヶ月服用しその後の血液検査はしていません。DHEAは採卵まで服用しました。カバサールも服用していて、次回血液検査予定です。不育症の検査もし、その他、特に問題なしとの結果です。今後私たちにできることはなんでしょうか。慢性子宮内膜炎検査と染色体検査はしておくべきでしょうか。行き詰まっています。

 

A 検査の実施はもちろん大切ですが、正しい判断ができるかどうかが最も大切です。例えば、検査センターに提出する検査は、日本全国どこからでも出せますが、妊娠を目指す方の基準値で判断できているかというと、必ずしもそうではありません。不育症検査が異常なしと他院で言われた方の検査結果をみると、異常が見つかることが少なくありません。また、ビタミンDとDHEAは、必ず基準値に達したかどうか確認が必要です。カバサールの服用によりプロラクチンが低下し過ぎてしまうと、やはり妊娠率が低下します。慢性子宮内膜炎の検査は最も重要ですので、ぜひ行ってください。染色体検査については治すことができませんので、必ずしもお勧めはしていません。当院には質問者さんと同様の方が大勢お見えになりますが、しっかりと対策を取ることにより、多くの方が妊娠出産を成功させています。当院にはそのノウハウが蓄積されています。できることをしっかり確認しつつ実施して、次の胚移植に備えるのが良いでしょう。
 
なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。