Q&A1781 母が入院して気がついたこと | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 母が入院しました。気がついた点がいくつかあります。

母は84歳ですが、高齢者だと「歳だから仕方がない」という医師が多いと思います。1月には低ナトリウム血症で緊急入院しましたが、本人が混濁症状を訴えたため、夜10時ごろ病院から電話が入り、家に連れ戻してくれといわれ翌朝退院しました。ナトリウムが戻ったため、大丈夫でしょうとことでしたが、11月になりまた同じような症状で、ベットで逆さになったり、夕方には手の痙攣がありましたので救急搬送されましたが、原因がわからず、今度は国立医療センター人院です。以前の病院は第1次病院でしたので、仕方がないと思いますが、医師の真剣みがまったく違います。
昔の医者は開業医でも夜9時ごろでも診てくれました。いまは往診もほとんどしませんね。最後に気づいた点は、大病院の医師が必ずしも名医ではないといいことです。これは、知りあいの先生から聞きましたが、いまの医者は勉強不足でろくに論文を読んでいないし、自分の専門外はわからない人が増えているそうです。これがほんとうなら困ったことです。

 

A 医師には「熱意」「誠意」「知識」「技術」が兼ね備わっていることが必要だと思います。偏差値一辺倒の現代の医師には受験勉強だけができる方が少なくないように思います。「熱意」は医療への情熱が必要で、単に受験勉強ができるからではなく、医師としての社会貢献を真剣に考えているかどうかがポイントだと思います。「誠意」は愛情や思いやりで感じとれるものだと思います。「知識」は常に新しい知識を身につける努力を惜しまないことです。「技術」は、外科医なら手先の器用さであり、内科医なら診断精度になります。また、話術も含まれます。

 

確かに、勉強不足の医師がおられるのも事実です。しかし、医師免許には更新がありませんから、このような医師に対する対処法は現実的にはありません。専門医制度も形式的なものになってしまっており、医師の能力を評価する指標にはなっていません。現状では、患者さんご自身で経験を積みながら、良い医師に巡り合うしかないのでしょう。