Q&A1808 臍帯巻絡で死産 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

 
Q 2016.6.10「Q&A1117 どの胚が最も女の子になりますか?」と2017.5.6「Q&A1448 どうしても女の子が欲しいですで2度質問させていただきました。この場をお借りし、先生にお礼を申し上げたいと思い送らせていただきました。

妊娠23週にして、子宮内胎児死亡にて赤ちゃんを死産しました。原因は、頚部の臍帯巻絡でした。三重にも巻きついていました。こんな不運が自分に起こると考えてもおらず、とても悲しい現実を受け入れるのが辛い日々でした。

質問なのですが、
①このような臍帯巻絡はどの位の確率で起こるものなのでしょうか。
②これは偶然で、もし次回妊娠できたとしたら、このようなことは起こる確率が他の方より上がるのでしょうか。
③仮に妊娠できた場合、4週間間隔の妊婦検診時期に、間隔を短くして診ていただく事は、医師からしたら迷惑な事なのでしょうか(不安でたまらなくなると思います)。

また、先生のブログで、凍結卵は生後1歳までは残りを保存をオススメすると拝読した記憶があります。今回は自然妊娠でしたが、第二子で体外受精したために、凍結保存しているものがあります。妊娠したからといって、どんな事があるか分からないので、正にその通りだと今回強く感じました。
 
A とても悲しい出来事に心中お察しいたします。
臍帯巻絡があっても全く問題なく出産される方は大勢おられます。しかし、どの程度の臍帯巻絡が問題なのかはわかっていません。頚部の臍帯巻絡(三重)の確率は明らかではありません。
臍帯巻絡は胎児が子宮内である方向に回転することによって起こると考えられますが、胎児の動きをコントロールすることはできませんので、このような偶然に生じることを避ける方法はありません。ただし、臍帯の長さが長い方が起こり易いと考えられています。しかし、臍帯の長さを調節することはできません。したがって、起きる確率は誰でも均等に生じるものと考えられます。
③上記の理由から、妊婦検診の間隔を短くしたからといって、臍帯巻絡を防ぐことはできませんし、それを治すこともできません。しかし、もしかすると寝る時のある一定の癖(いつも右向きなど)があるようでしたら、毎日違う向きで寝る(今日は右向き、明日は左向きなど)と良いかもしれません。
 
なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。