Q&A1842 癒着胎盤が怖くて次が踏み出せません  | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 体外受精にて授かった子どもを、37歳で出産しました。しかし出産後、胎盤が出てこなくて医師が手で出そうとしていたのですが、結局出ず、病室に戻った後から大量に出血をし、輸血➕大きな病院へ緊急搬送され、癒着胎盤、胎盤遺残による出血と診断されました。

そこで、質問です。
①癒着胎盤になった原因は、なにが考えられますか。
②今後妊娠した場合、再び癒着胎盤になる可能性は高いですか(体質的なこととか)。
③次回妊娠した場合、癒着胎盤になる可能性も考えての産院選びをしたほうが良いですか。
④自然妊娠と体外受精、人工授精、それぞれの妊娠の仕方によって癒着胎盤になる確率に違いはありますか。

出産後の胎盤が出きるまで、またいつ大量に出血するのかわからない生活が、若干トラウマになっています。2人目を望みたい所なんですが、不妊治療によっての妊娠がこのような結果になってしまっているような気がしていて、次に踏み出せずにいます。

 

A 癒着胎盤がトラウマになっている方は少なくありません。

①癒着胎盤のリスク因子は子宮内操作などですが、文面を見る限りではリスク因子の記載はありません。

②初回の出産より、2回目以降の出産でなりやすいとされています。

③したがって、癒着胎盤になる可能性も考えての産院選びをしたほうが良いでしょう。

④妊娠の方法は全く関係ありません。癒着胎盤は、胎盤形成時での問題ですので、体外受精、顕微授精、胚移植あるいは使用した注射や薬との関係はないものと考えます。また、なぜ癒着胎盤ができてしまうもかも明らかにされていませんので、残念ながら癒着胎盤を防ぐ方法もわかっていません。


癒着胎盤の定義(重症度は1<2<3)
1 楔入胎盤:胎盤が子宮筋層表面に癒着したもの
2 陥入胎盤:筋層深くに侵入したもの
3 穿通胎盤:筋層を貫通して漿膜層に到達したもの

癒着胎盤のリスク因子
1 経産婦
2 内膜損傷(子宮内膜掻爬術、胎盤用手剝離術の既往)
3 子宮手術(帝王切開術・子宮形成術の既往)
4 内膜の炎症(子宮内膜炎)
5 粘膜下筋腫
6 前置胎盤

 

下記の記事を参照してください。

2016.6.30「Q&A1137 癒着胎盤になりやすいのでしょうか?

 

なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。