Q&A2561 新型コロナウイルス時代の妊活 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q これは個人の質問ではないので一般的な質問として伺いたいです。


発生してからまだ日が浅いことから妊娠中の胎児への影響の有無は不明と読みました。万一胎内感染がある場合は特に初期であるほど胎児への発達などの障害が出ると何かで読んだ気がします。今妊活中、もしくは妊活をはじめようとしている場合はできるのであればもう少し落ち着くまで待ったほうがよいでしょうか。
 

ただ、私のように40歳を超えている場合、例えば1年待つことで身体的な妊娠の可能性がゼロに近くなります。その場合は、まだ判断できないリスクよりも妊娠できなくなるリスクを優先して妊活を続けるほうがよいでしょうか。あくまで現時点での、また先生の個人的な見解でかまわないので(もちろん自己責任なので)アドバイスを伺えると嬉しいです。

 

A 例えば、風疹ウイルスは、妊娠後期に感染しても問題ありませんが、妊娠初期に感染した場合にのみ先天性風疹症候群という赤ちゃんの異常が生じます。また、トキソプラズマは妊娠初期よりも後期の方が胎児への感染率が高くなりますが、先天性トキソプラズマ症は妊娠初期の感染の場合に発症率が高くなります。新型コロナウイルス感染の赤ちゃんへの影響は妊娠後期の感染では問題ないようですが、妊娠初期の感染による影響の有無が判明するのは秋以降になります。したがって、現段階では何とも言えません。待てるのであれば待ちたいところではあります。

 

さて、「不要不急」の捉え方は人それぞれだと思います。例えば、40代の方と20代の方では、妊娠を目指す上での1年の重みがかなり異なります。なぜなら、卵子は毎日老化しているからです。新型コロナウイルス感染が一体いつ収束するのか皆目検討がつきません。1〜2ヶ月なのか、数ヶ月なのか、1年なのか、数年なのか、誰にも予測がつきません。1〜2ヶ月なら待ちたいところですが、1年以上なら待つことはためらわれます。従って、それぞれのご夫婦の考え方に基づき、納得した上で妊活して欲しいと思います。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。