Q　私の旦那は重度男性不妊（精子無力症で運動精子が数匹、濃度は1ml中500〜2000万個、精液量は1〜2ml）です。クラインフェルターやY染色体の遺伝検査は問題なし、血液検査も異常なく原因不明と言われています。私たちは30代前半で、私は今のところ検査で異常はありません。今の病院では射出精子で顕微授精をして、だめならTESEと言われています。

①旦那は一卵性の双子です。もう一人は運動率が40％あり、自然妊娠の子供がいます。一卵性の双子でも、男性不妊の所見が違うことはありますか。
②ほとんどが不動精子ですが、胚盤胞になる確率はどのくらいでしょうか。
③長距離運転が精液所見に影響しますか。旦那は片道36キロで1時間の通勤時間です。かなり山奥の通勤のため、登り下りも激しい道です。
 

A　

①同じ遺伝子を持っている一卵性の双子でも、（嗜好や性格が違うように）精液所見が違っても不思議ではありません。遺伝型と表現型が異なることはいくらでもあります。
②射出の不動精子では、ほとんど胚盤胞にならないと思います。従って、運動精子を使うことをお勧めします。ただし、原発性線毛運動不全症（Primary ciliary dyskinesia：PCD、Kartagener症候群）の場合は不動精子でもOKです。
③車の運転の姿勢は、陰嚢温度を上昇させることが報告されています（2時間後には1.7～2.2℃上昇）。陰嚢温度の増加は、精液所見の低下につながります。毎日3時間以上車の運転をする男性は妊娠するのに長期間を要する(1996年)、タクシー運転手は正常形態の精子が少ない(1996年)、不妊症のカップルには運転手が多く運転年数に比例する(1979年)、運送業の男性は精子運動率が低く精子数も少ない(1994年, 1986年)ことが報告されています。１時間運転したら、休憩して少し歩くと陰嚢温度はすぐに低下しますので、ぜひお試し下さい。

 

下記の記事を参照してください。

2022.1.14「Q&A3175　AZFc遺伝子欠失の遺伝について」

2018.9.22「Q&A1959　☆AZFc欠失の方は全員無精子症ですか？」

2013.5.5「☆☆☆精子に良いこと18か条」

2012.9.28「精巣の温度　その１」

 

なお、このQ&Aは、約1ヶ月前の質問にお答えしております。