議案第81号
「国連人権委員会特別報告に基づく施策及び財政措置を求める意見書」について、
賛成の立場で理由を述べます。
昨年11月に国連人権理事会にてアナンド・グローバー特別報告者による
「到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利に関する報告書」では、日本政府に対して様々な提言・勧告がなされております。
その報告書記載の勧告に対する2011年11月時点での日本政府の回答は、
まず、福島県民、特に子どもと、避難区域に住んでいた住民の
中長期的な健康管理を保証するため、福島県の健康管理調査に、
782億の財政的拠出をしており、福島県の健康管理調査は、
福島県民を対象とする外部被ばく量の概算を意味する基本調査と、
甲状腺超音波検査、避難区域の全住民対象とした総合的健康診断
及びメンタルヘルスと生活スタイルに関する調査、福島県で妊娠、小児健康診断を
受診した約1万6000人の女性対象とした妊娠、出生に関する調査を行っている。
と報告されており、避難地域以外の住民に関しては、
総合的な健康診断は想定されておりません。
また、日本における年間の自然放射線量は、
2.1
mSvであると推定され、原発事故に伴い、
更に年間1mSvを追加すると、年間の放射線量は3.1 mSvとなり、
この数値は、アメリカの年間放射線量3.1 mSv、
ヨーロッパ諸国の年間放射線量2~7 mSv の自然放射線量とほぼ同等である。
と追加被ばくを是認する見解を示し、
2011年11月時点の政府の見解は、福島県では、2013年3月末までに、
12万3050人が、原発事故に伴う内部被ばくの検査を受けた結果、
99.9%以上の住民の内部被ばく量は1 mSv以下で、
最も内部被ばく量が高かった者の被ばく量は、約3 mSvであった故に、
原発事故の被害を強く受ける福島県であっても自然放射線量の範囲内である。
という見解を示しております。
原発事故に関わる住民の健康モニタリングの内容は、
科学的根拠と、推定被ばく線量に基いて決定され、
放射線量がやや高い地域、もしくは長期にわたる避難が予定される地域では、
個人の被ばく線量が推定され、血液検査が実施される。
被ばく線量が比較的低い地域で、放射線被ばくの健康への影響以外に、
健康状態の調査が必要な場合、住民の追加被ばく線量が
1 mSv であるか否かの如何に関わらず、
住民の健康状況は既存の健康診断や、医療機関のデータにより監視することが
可能である。という見解を示していることからも
2012年11月時点での日本政府の見解では、放射線量がやや高い地域が
何処なのか明言はされておりませんが、今までの取り組みからも
福島市民に対しては積算外部被ばく線量を示す県民健康調査
及びWBC以外には、特段、健康調査に関する見解は持ち合わせていない
ことがわかります。
更に、2011年11月時点での政府の見解は、実効線量を用いると、
原発事故による追加線量の影響は、自然放射線量のそれと等しくなり、
年間3mSvまでの放射線に晒される住民を、健康管理調査の対象に
含めなければならないとすると、年間3mSvまでの放射線を被ばくする
住民が暮らす多くの国々で、放射線のための健康管理調査を
実施すべきであるということになる。追加積算線量が、
年間1mSvの地域に暮らす住民が、健康管理調査の対象に
含まれるべきであるという議論は、医学的、科学的な根拠が必要である。
という見解からも日本政府の消極的な姿勢が伺えますことから
国連人権理事会の特別報告者の勧告内容が日本政府の見解と
相容れない箇所は多いものの原発被災地の住民の気持ちを
充分に汲みいれられているものと判断し、本議案に賛成させて頂きます。