BLコミック 秀良子 『STAYGOLD 1』感想 | 半腐女ry生活?

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腐っているような腐っていないような声優&アニメヲタが送る感想ブログ。
(と言いつつ、中身はドラマCDの感想ばかり・・・w)

STAYGOLD 1 特装版 (IDコミックス gateauコミックス)/一迅社
¥900
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『STAYGOLD 1』を読みました。
作者:秀良子




リハビリのために書いてみることにしました。




あらすじ
ひとつ屋根の下 くすぶる魂。俺と弟、甥と姪。4人暮らし。このまま変わりなく続くと思っていた生活に“恋”というやつが突然、ものすごい角度でささった。その“恋”が抜けぬまま、4人暮らしは続いていく。優士、駿人、コウ、菊花。ぐるぐる、ぎしぎし、静かに確実に。思春期の温度、誰かを好きになる感覚。過ぎていく時間のなかで育っていく想い。秀良子が描く思春期+年の差恋愛、待望の第1巻。



もうちょっと詳しくあらすじを書くと、優士は親の再婚相手の連れ子である5歳離れた姉が駆け落ちしてしまったため彼女の子供の駿人(13歳)と菊花(幼稚園児)の面倒を見ています。優士の弟コウも同居していて、複雑な家庭環境にありますが、上手くやっていました(たぶん)。
ある日駿人が金髪にし、要はグレてしまいます。物語はそこから始まります。
おおざっぱに言うと、駿人は優士にずっと恋していて遂に告白するのですが、優士はそれまで保護者でしかなかったので戸惑い悩む、というようなところです。
実際のところはそんな簡単な話でもなく、優士は義姉(駿人の母親)にずっと片想いしていたり、優士は優しいのではなく優柔不断なのだけれど駿人は真正直に優しさと受け取って育っていたり。
駿人を見つめる地味めな女子目線の話もところどころに挟まれていたり、タラシでバリバリノンケのコウに片想いしている男友達目線の話もあったりと、駿人が優士への想いを告白したことで周りの人たちの心境や状況も変わっていきます。




幼稚園に入園した時は年長さんは遠い存在で、小学1年生なんて大きすぎて全く別世界の人たちでした。そんな大きな小学1年生になったら今度は6つも年の離れた6年生が同じ校舎の中に居て、校庭を共有した時なんて違いすぎてこわくもなりました。未知の中学生になったら今度は3年生が受験だなんだ必死に勉強している姿を見ていつか自分もこうなるのかと想像できないままちょっとした焦燥に駆られました。高校生になったら小学生の時に20歳まで生きられるのかなと、ただただ遠く思っていた十数年後が間近に迫っていることに驚きました。

今は・・・もうそういうことは考えません。
いつの年齢のどの瞬間も天辺を知らないまま生きていて、でもその時その時自分よりも年下にとっては天辺でもあり都度大人になったと自負していたのですが、今になって振り返ってみると、めいっぱい大人だと思っていたその瞬間はほんの子供でした。
中学生なんてなんでも知っていると思っていたのに、今彼ら彼女らを見ていると幼さを感じます。それは物の考え方を見て、というのもありますが、大人びたように見えていた表情やら顔つきやらのあどけさなさにはっと気づかせられるのです。
忘れてしまったというわけではないのですが、きっと薄れてしまっていて、自分も同じ道を通ってきたはずなのに子どもを扱うような目で見てしまうのですね。



本作を読んでいて、なんだかそんなことを思い出しました。



駿人の気持ちを知ってすぐの頃優士が―因縁か?―と思うところがあるのですが、そんなむずかしい言葉で片付けてしまうのだなと思ったのですね。それは優士に対してというより大人に対して、という感じです。

昔は同軸にあったはずなのにいつの間にか頭の中は別軸に切り替わっていて、随分都合の良いスイッチを所持していることに気づきました。
駿人は髪を金色に染めてしまうなんて随分思い切ったことをするな~。若さだね~。なんて思いつつも、自ら優士の唇を奪ったり、その後に優士の裸を見ても平気な振りをしたり、羨ましい気持ちもありました。若さの為せる業だと思って羨ましいのでしょうが、若くても私にはそんなことできなかったでしょうし、同じ年齢に立とうとした時にしても今見るにしても大人なんだなぁと思いました。
でも、キスした後に逃げて―やった―と繰り返しているところや表情を見ているとかわいいなと思うのですけれどね。それは子供を扱うような目で見ているのです。


このように、優士目線で考えてみたり、駿人目線で考えてみたり、ということができるほどに秀良子先生は丁寧に年齢ごとのキャラクターを描いています。
優士が社会人で、駿人は中学生。更にコウは大学生、コウの友達の日高も大学生、義姉は恐らく30代くらい、駿人に恋している女子美浦は中学生、菊花は幼稚園児。
書き出してみると男女問わず随分幅広い年代に渡って人物が描かれているのがわかります。そして誰もがその年齢を生きているのです。驚きました。
主人公以外も数合わせの紙人形にならずちゃんと息をして生活を営んでいるのですよね。1人1人の世界が描かれているので誰を見ていても飽きません。これは素晴らしいことだと思います。
つまり例えば誰かが敵になるということがないのですから。みんな心があって理由があって動いていて、それを知ってしまったら簡単に決めつけて嫌いになるなどできません。全員をもっと知ろうと読んでいるうちに何度も読んでいました。
それから、つまり誰かの何かの動きに分け隔てなく共感できます。全面的にではなく、一瞬の表情なこともあれば、シーンの一部を切り取ったところのこともあり、様々です。
私自身が作品に入っていくとか自分を投影しているとかではなく、この気持ちは男女関係なくあるな~という部分を素直な気持ちで見られるのです。




ボーイズラブ作品は男性同士の恋愛が描かれていることが絶対条件ですが、本作はそこに留まらないところも好きです。
上の話に通じますが、キャッキャウフフしている2人を対岸から眺めるのももちろん好きなのですが、それはあるな~その気持ちはわかるな~とボーイズラブ以外の面で男性同士の話という壁を崩してくれるお話も好きです。
お気に入りなのが第6話で駿人が友達の誘いを断って一目散に家へ帰る話です。

運悪く誰もいなくてしかも帰っても来ず、夜7時を過ぎてテレビをザッピングしていたら通り魔のニュースをやっていて途端に不安になってきます。
とても懐かしい気持ちになりました。あるあるですね。



今回特装版の小冊子に「金持ち君と貧乏君」「ネガティブ君とポジティブ君」「イケメン君とさえない君」のアフターストーリーが収録されているのですが、これらの作品はタイトルからもおわかりいただけるかもしれませんが大分誇張しているもののあるある満載なんですよね。
先生は人物や物事の観察力が長けていらっしゃいますよね。見送ってしまいがちな当たり前のように見えることを特別に書き出すことができることに憧れますし尊敬します。
小学生が「何時何分何秒地球が何回まわった時」としゃべっているのを入れてくる辺りもわかりやすく身近に感じられます。更に良いのがそれを見た優士が―今時の子供も言うんだあれ―と。そこまでセットで描かれるとは。新品の消しゴムに好きな人の名前を書いて最後まで使うというおまじないも懐かしかったです。

それらを見ていたらフィクションなのに手元に届く感覚になりました。
それでいて、定期的に義姉から魚介類が送られてくるということがコミカルに描かれているとか、
「さくっと」
「そんなスナック感覚で聞けっかよ」
「じゃあしっとりふわふわ」
「パンケーキかよ」
言葉選びのセンスの良さとか、隣に置いてしまうにはもったいないキラキラした面があって、一冊が貴いのです。



先ほどの6話は、ニクい演出になっています。
通りへ出たら優士を見つけるのですが、その時の表情の移り変わりはほとんどの人が経験したり知っていたりするもので、まずここで安堵します。それから、それまでナマイキだった彼がまだ中学生であったことを思い出し、同時にやはり見かけだけでなく成長していることを知ります。
そして・・・!




先生の商業BL作品はすべて読んでいますが、新作を読む度にまだこんなに引き出しがあるのかとただただ嬉しくなります。また次も読みたい!次はどんな話を読ませていただけるのだろう!とプレッシャーをかけているわけではありませんが、絶対面白いと確信して嬉しくなるのです。
そういうわけで、2巻が早く読みたいです。
あ、ひとつ悔しいのは、店頭に買いに行く余裕がなくてペーパーゲットできなかったこと。送料ケチらずコミコミで買えば良かったかなぁ。どんな内容だったのでしょう。




全然BLの感想になっていなくてすみません。

とりあえずまだ全く恋愛関係には踏み込んでいません。
どのキャラクターもみんな一方通行の想いを抱えて日々過ごしています。
設定やキャラクターが複雑なので、物語は進んでいますが1巻は紹介に時間を割いている部分も多々ありました。
そんな中でも好きなのは、答えをすぐに出さないところです。先ほどニクい演出があると書きましたが、他にも読み進めてようやくわかる部分があります。ページを戻って読んでみて何でもないと思っていた部分でキャラクターが細かく動いていることを知ります。言葉にしないで全部を説明しているというのは長い目で見ると大きな大きな発見をさせてもらうことになりすべてのシーンに無駄がなく、面白い!です。









以下独り言&反省会。スルー推奨します。






出来上がったものだけをお見せするのが正しいと信じているのでこれを書くのはだめだと思うのですが、ちょっとだけ。
何を書いていいのか自分の中でわからなくなっていて、例えばCDの感想ならば作品についてと同時にCDについてを書かなければならないので結局作品についてが疎かになってだめなのではないかと、ちょっとそんなせいにしてみて気を紛らわせていました。
耳から入れるばかりで読まないというのは腐っていく気がしてきて(バランスの話です!)、実際それが顕著になってきていると日々悩んでもいました。
そこで作品の感想に絞れるコミックスの感想を書いてみたのですが、やっぱりすべてにおいて面白くないし結局いつもと変わり映えしない。こんな感想をはじめから持てたらいいのにと憧れるブロガーさんが何人もいるのですが、憧れてもその方になれるわけではないですし、なれたらなれたで二番煎じにしかなりませんし、私はそもそも自分というものを持ち合わせているのかと・・・。あー重い。やめやめ!(苦笑)

ネット上に載せて人に読んでいただくからには、常に緊張感を持ち、責任持たずに投げっぱなしにすることだけは避けたいです。