久々に コースを走る 黄色いの~登別こいのぼりマラソン完走記2 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

(2)防寒対策として着ることにして

 大会当日を迎えました。天気予報は雨。そして予想最高気温は8度。寒いのも雨も苦手な私にはとても厳しい条件です。

 しかし起床して外を見るとアスファルトは一部乾いています。いつ雨が降ってもおかしくない空模様ですが、今はどうにか治まっているようです。ゴールするまでこの状態が続いてくれれば……と思いながら支度をしました。

 蛍光Tシャツを着てタイツを穿き、ランニング用のソックスを履き、その上からジャージを着ます。ジャージを脱いでナンバーカードをつけたランシャツを着ればすぐに走れる格好です。

 荷物は前日のうちに用意しています。食事をしてトイレを済ませて出て行けばいいだけなのですが、なぜか予定よりも時間がかかってしまい、前日に考えていたプランより20分ほど遅れ、8時近くなってから家を出ました。

 家から一歩外に出たとたん、肌に刺さるような寒さを感じてしまいました。

 ウェアは半袖しか用意していません。この寒さでは半袖で走るのはつらそうです。かといって長袖を取りに戻るのも面倒です。

 ということで、仮装ランを決めました。けっして特別賞に目がくらんだわけではありません(笑)。でもやるからにはしっかりと目立つパフォーマンスをすることにします。

 車を運転してしばらくすると、ポツポツと雨が落ち始めます。その雨は間欠ワイパーを動かさなければならない程度でさほど強い雨ではありませんが、この気温では非常に応える雨となりそうです。

 なんとかもってほしかったけど……と思いましたが、こればかりは仕方ありません。この黄色いヒーローのデビューレースとなった2007東京マラソン。あのときも気温5度という寒さの中で、しっかりと雨が降っていました。この黄色いヒーローが雨男なのかもしれません。

 ところが車が会場の駐車場に到着する頃になると雨はほとんど上がりました。あと2時間もってくれと祈りながら労働福祉センターに向かいました。

 更衣室に指定されている部屋に行くと、数名の男性ランナーがいました。私は隅っこの目立たぬ場所でジャージを脱ぎ、Tシャツとタイツの上から黄色いスーツを身につけます。背中ファスナーのワンピースですが、ちゃんと一人でファスナーも閉じられます。

 以前コスプレをして走っていた頃は、コンタクトレンズをつけていました。このコスプレをするためにコンタクトレンズにチャレンジしたのです。でもコスプレランナーを引退してからはコンタクトレンズを使わなくなっていました。

 しかし黄レンジャーもどきに変身するためにはめがねをかけていられません。めがねを外してしまいます。マスクをつけると視界が狭くなるうえに裸眼。これでは危なくてスピードを出すことができません。……走る前からタイムが悪かったときのための言い訳です。

 いったんは黄色いスーツの上からジャージを着て、そのまま暖かい更衣室で休みます。競技場には荷物置き場も預かりもなさそうなので、レースに出る姿で行かねばなりません。ギリギリまで暖かい部屋で休んでいることにしました。

 8時40分を回ったところでジャージを脱ぎマスクと手袋をつけて変身します。ところが10年も使っている変身スーツはすでにボロボロです。マスクの中は接着剤もはがれ、そのかけらが目の辺りにあったようです。

「イテッ」

 そうとは知らずにマスクをかぶると、左目に異物が入りました。痛みに目も開けられず大アクシデントです。慌ててトイレに駆け込み、鏡で目の中を確認しますが何も見えません。そうこうしているうちに、いずさは残るものの痛みは引いてきたので、とりあえずそのまま走ることにします。まったく前途多難です。

 そんなアクシデントでちょっと時間を食ってしまい、急いで変身作業を終えて競技場に向かいます。競技場に入ると、トラックを軽くジョグをして体を温めます。

 そうしていると徐々に周りの視線が刺さってくるのを感じます。コスプレ特別賞も設けられたということでもっとコスプレランナーが多いと思ったのですが、意外と少ないのです。それだけに私のいでたちはちょっと浮いているような感じがします。

 やがて子供たちも集まってきました。そして私を見ながら笑っています。大丈夫、インパクトは十分だ。特別賞の手応えを感じながら子供たちにも愛想を振りまきました。

「あー、わかった、特別賞狙ってるの?」

 まったく子供たちは遠慮ということを知りません。

「いや、別に、むにゃむにゃ……」

 黄色いヒーローはたじたじとなって言葉を濁します。

 そんなやりとりをしているうちに、スタート時刻である9時が迫り、スタートラインにつくように指示がありました。私は最後尾に並びました。あの急坂を攻略するには前半飛ばしすぎないことが必須です。コスプレランですし、後ろからゆっくり愛想を振りまきながら走ることにしましょう。

 このときまではそう思っていました。(つづく)


(1)いちおう用意して

(3)狙うと決めて愛想を振りまいて


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