遺伝の話(1)からの続きです。まだの方は(1)からお願いします。

 

少しだけおさらいすると、子どもの遺伝情報は間違いなく両親から半分ずつ(染色体を23本ずつ)もらって46本の染色体ができているわけですが、各親から受け継がれる情報は半分(23対→23本)になるうえに、持っている遺伝情報≠発現する性質なので、親に似ない部分が多々あるのは普通のことです。

 

このあたりの"血統"のような話は、実は競馬好きの方々が一番好きなのではないでしょうか(笑)

 

 

学力が遺伝で決まるのか、それとも環境や本人の努力で覆せるのかと言った問題については、一卵性双生児(←遺伝子が同一)の研究から、遺伝の影響は非常に大きく、特に成長とともに環境の影響は薄まり、遺伝の影響がより強くなっていくという結果が得られています。

 

 

しかし一方で、米ミシガン州のペリー幼稚園で1960年代から現在まで追跡が続いている実験結果から、幼児期(0~5歳)に"質の高い"教育を受けると、大人になってからの学力や収入に優位な差が見られることも知られています。

 

そして幼少期に有効な先の"質の高い"教育とは、認知能力を高めること(読み・書き・そろばんなど)ではなく非認知能力を高めること(運動教室や演技の授業など)であり、そのなかでも特に自制心(≓勤勉さ)を鍛えることである点を特記しておきたいと思います。

 

 

遺伝で決まると言ったり幼児教育が大事と言ったり、どっちやねん!という感じですが、「研究結果が出ている」とか「論文がある」ということの意味を、特に社会学的な分野の研究においては、過大に捉え過ぎない方がいいと思っています。

 

というのは、その調査をした前提のもとではそのような結果になったというところまでは完全なる事実ですが、その結果を一般化するところは実は難しく、少し論理の飛躍があったり、あるいは論文中では筆者は一般化してないのにそれを引用する人が勝手に一般化してしまっていたり、といったケースも非常に多いからです。

 

まあ私の個人的な感覚では、先天的なものとしては遺伝だけでなく妊娠・出産時の諸々によるものもあると思いますし、後天的なものとしては幼少期の育てられ方もその後の本人の努力も、それらのどれもそりゃあ効くでしょうという感じです。どうにもできない部分も結構大きいと思います。ではどうするか…

 

長くなってしまったので、続きはまた次の記事で書くことにします(間に他の記事を挟むかも知れません)。