「理系研究職の世界」というシリーズで、前回までに理系研究職の世界では出身大学よりもむしろ出身研究室が大事であることや力のある(≓研究費が潤沢な)研究室は国立大学に多いこと、そのような研究室に入るメリットなどを書いてきました。

 

理系研究職の世界(1) 社会に出たらどこの大学を出てるかなんて分からない?

理系研究職の世界(2) 理系は国立大学がいい?

理系研究職の世界(3) 力のある研究室に入るメリット

 

科研費のことも書きましたが、力のある研究室は、基本的には研究室のHPを見ればすぐに分かります。誰それ(先生だけでなく学生も)が学会賞をとったとか学術雑誌の表紙になったとか華やかなことがたくさん書いてあり、博士課程以上(助教、講師、准教授、〇〇研究員)のメンバーが多く、秘書さんがいることも多いでしょう。また論文リストには1年でも数え切れないほどの数の論文が載っているのが普通です。

 

 

さて、今回はこういった力のある研究室に入ることがデメリットになる場合もあるという話を書きたいと思います。

 

このような力のある研究室は、基本的にかなり忙しく拘束も多いです。大学院生なら毎日朝から晩(時には夜中)まで研究室に通い、土曜も通うことになることが多いかと思います。これを給料が出るわけでもなく、むしろ授業料を払いながらするわけですから、「えっ、大学って勉強せずにバイトしてサークルして恋愛するところじゃないの??」という感覚の人にはカルチャーショックかも知れません。

 

ちなみに、4年生で研究室に入る頃にはバイトも辞め、遠方から通学していた人も一人暮らしを始めるということが多いです。

 

 

したがって、前回書いたような研究活動を通して得られる貴重な経験や人脈に価値を見いだせない人(あるいは途中で嫌になってしまった人…)にとっては大変で辛いだけということにもなりかねません。

 

忙しいだけでなく、研究室では教授の権限が強すぎてワンマン中小企業のような感じになっているため、理不尽が横行していることも少なくありません(理不尽の一例としては、就職活動を教授に邪魔されるなんて例も…)。少なくとも、かなり特殊な価値観からなる世界です。残念なことに、そんな研究室に行ったばかりに研究の世界が嫌になったり鬱になってしまうという話も少なからずあります。

 

ちなみに、理系でも研究活動には興味がないという人も普通にいて、わざと「ゆるい」研究室を選んで、ほとんど研究活動はせずに就職活動に精を出して優良企業に就職していく人もいます。大学に求めるものは人それぞれですから、意思を持ってやるならそれもまた一つの賢い選択と言えるでしょう。

 

 

とはいえ、研究を好きで面白いと思える人にとってはこのうえない環境が待っていますので、究めたい分野がある人にはぜひ目指してもらいたいです。研究の世界では好きであることが何より大事です。目指す段階では得意かどうかは二の次で大丈夫です。


くれぐれも、「数学が得意だから理系」とか「数学が苦手だから文系」などというつまらない考え方で進路選択をしないでほしいです。数学が嫌いでも苦手でも、好きで勉強したい分野があれば理系でやっていけますから。


まあ現実としては受験で数学の影響は大きいですし、数学に限らず、成績が理由で進路が制限されるなんてこともあるでしょう。でもだいじょうぶ(←おばけずかん)、好きでやる気さえあれば「抜け道」もあります、なんて話も次回以降に書こうかと思っています。引き続き、お気軽にコメントやメッセージ下さいね。コメントはちょっと…という方は「いいね」だけ押してもらえたら嬉しいですウインク

 

Mr.Children / Prelude

信じていれば夢は叶うだなんて口が裂けても言えない

だけど信じてなければ成し得ないことが

きっと何処かで僕らの訪れを待っている