見るともなくTVを見ていると色々と雑学が身に付く。最近では日本全国でお人良しが多いのはどこなのかを、道に迷ったふりをした人をどれだけの人が助けてくれるかという調査の結果を見てランキングを決めるという番組があった。それによると日本一お人好しなのが岩手県、次いでぐっと南にくだって長崎県、最低が、やはりというか東京だった。

「人がいいのもバカのうち」ということわざがあるくらいでお人好しという言葉にはあまりいい響きがない。人が良い、親切である、というまだしもお人好しと言われて喜ぶ人はいまい。


何を隠そう、私は岩手生まれなのである。岩手で高校時代までを過ごし、仙台の大学に通う事になった時には「仙台人は人が悪いから気を付けよ」と皆に言われた。確かに岩手県民ほどは人が良くないのを実感した。大学卒業、そして東京に出る時には「東京人は人が悪いから気を付けよ」と言われ、おそるおそる上京すると、すぐに新宿のアパートで干している最中の下着からGパン、バスタオルとまるで戦時中の洗濯物泥棒のような目に遭って、なるほど東京人は信用できない、せちがらい、人が悪いと実感したものだった。


夜道で「マッチ持ってますか」と男に聞かれ、タバコが吸えないのではかわいそうだとバッグの中を探っていたらいきなり胸を触られ、何てヤツだ、こちらが親切でマッチを探していたのに、と今でも腹が立つ。


確かに東京人のスタンダードで考えれば岩手県民は人が良く、デート商法だ、なんだと東京人のいい餌食になっているのは東北から出て来た素朴な男性に多かったようだ。


私は東京人に対するに、岩手のスタンダードからはちょっと人が悪いぐらいに対応している。それでも「あなたは人がいい」と言われてびっくりする。


岩手から上京する人に忠告したい。あふれる親切心はうちに秘めておいて、人を皆信じてはいけない、という悲しいけれど現実的なアドバイスをしたい。砂金探しに似て、大都会で真からの友人、信頼するに足る人間は稀だけれど、いない訳ではない。


ところで長崎の人が二番目に人がいいという点だが、そう言えば私にも心当たりがある。


追記


4年暮らしたニューヨークの住民たちも人が悪いので有名。でもニューヨークに負けず劣らずの県が日本にもある。ここは東京とおっつかっつでブービー賞もの。どこの県かは私を知っている人ならわかるのだが、ここでは有名な温泉地がある県、とだけ書くことにする。