「『脱たばこ』の旅 急加速」(SANKEI EXPRESS3月18日号)によると、東北、上越新幹線などJR東日本の新幹線と特急が18日から全面禁煙になるという。滅多に乗らない新幹線、今年1月に利用した時には禁煙車を指定した覚えはないのに禁煙だったのでとっくに全車両禁煙になっているとばかり思い込んでいた。

首都圏の小田急電鉄と東武鉄道も特急電車の喫煙車両を全廃するとあるから今までは喫煙車両があったのだ。知らなかった。また、管内のほぼすべてが禁煙となるが寝台列車は別。

健康増進法施行を受けて禁煙を進めて来たとあるが、この法律の施行は約5年前の2002年8月。あまりに遅きに失した措置ではある。禁煙の動きは西低東高らしく、JR東日本が全面禁煙に踏み切ったのに対してJR西日本の京阪神と山陰方面を結ぶ、運行時間が3時間を越える特急では喫煙車を残すそうだ。

飛行機は10時間を越えるような国際線でも全面禁煙なのに、この3時間という区切りが理解できない。ニコチン中毒者は3時間以上はタバコなしではいられないという事だろうか。

日本たばこ産業の2006年度の調査では成人の喫煙者数は26.3%に低下しているそうだが、内訳を見れば男性が41.3%、女性が12.4%で、女性が喫煙率を下げているのであって、男性に限れば中国や韓国よりは低いが先進国と比較すると非常に高い。喫煙率が過去最低と喜んでる場合じゃない。

マナーの悪い喫煙者のせいでイヤな気分になる事は多い。駅のホームの決められたところで喫煙しないし、吸殻をポイ捨てをするので掃除の手間と費用がかかる。車両内で喫煙すればヤニの汚れが付く。それでも料金が非喫煙者と一緒というのはナットクいかない。

7月に東海道、山陽新幹線に登場する新型車両は初めての全席禁煙車となるそうだが、16両編成の6ヶ所にご丁寧に喫煙ルームを設置、光触媒を使ったり、排煙装置を常時稼動させたりして「完全分煙化」を目指すという。実際に見てみないとわからないが、喫煙ルームがあるのでは全席禁煙と言ったってどこかに煙いエリアがあるのでは受動喫煙は100%防げないのではないか。

かつて禁煙化の黎明期に新幹線のグリーン車に乗ったら、禁煙席を指定したのに同じ車両内でタバコを吸っている人がいて、車掌さんに注意してくれるよう頼んだところ、車両の前3列ほどが禁煙席で、そこから後ろは喫煙席だと言われ、まるで詐欺に遭ったような気分になった。かつての国際線にしても密室の中、禁煙席と喫煙席が並存し、喫煙席のすぐ後ろの禁煙席に座らされて食事時に煙が流れて来て閉口した事もある。喫煙者サイドに立つ人々はこんな破廉恥なまやかしの論法を平気な顔で通そうとするのである。

「『脱たばこ』の旅 急加速」というタイトルは正しくない、「脱たばこの旅、ようやくエンジンかかる」ぐらいがちょうどぐらいではなかろうか。