先日書いた、「間」についての続きです。

僕にも言えることですが、マジックを演じていて、うまく現象を起こしたのに、思っていたほどの反応をもらえないときがあります。理由はいろいろ考えられますが、演技中はついひとつのことを考えてしまいます。それは

「バレたか?」という、トリックが成立しなかった不安感です。

この不安感は、マジシャンにとって「バレたかもしれない症候群」とでも名づけたいほどの難病です。これに襲われると、マジシャンは、

「次のマジックで挽回しよう」と考えます。ところが、不安感にさいなまれていますから、セリフも演技も「走る」のです。当然、走れば間が悪くなります。セリフもきちんと言えなくなり、現象だけが味方に感じられ、現象までが永遠のように感じます。

観客は急に焦りだすマジシャンの演技が理解できず、拍手のタイミングを逃します。

マジシャンは「またすべった!!」と思って「バレたか?」と考えます。


あとはもう、ボロボロです。


この病気に特効薬はありません。すべっても焦らない図太い神経を育てるか、ひとつくらいすべってもとり戻せる、全神経の10%ほどで演じられるマジックを創ることです。もちろん、オリジナルである必要はありません。良いマジックをきちんと演じられるようにしておくことです。

結論を見ると、なんて基本的なことなんでしょう。(^_^;)